第28回日本ティーボールセミナー

2021年1月16日(土)開催
ーコロナ禍におけるティーボール・野球・ソフトボール指導ー

開催要項

➡ 第28回日本ティーボールセミナー実施要項(PDF)

第28回日本ティーボールセミナー
コロナ禍におけるティーボール・野球・ソフトボール指導

(頼住氏) 

 只今より、第28回日本ティーボールセミナーを開催致します。改めて皆様、あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。今回は第28回目にして初めて、オンラインで開催致します。 

 今私が立っているのは、早稲田大学人間科学部教授のスコット・ダグラス先生の実験室です。申し遅れましたが、本日のセミナーの司会を務めさせていただきます、日本ティーボール協会事務局長の頼住と申します。どうぞ宜しくお願い致します。この広い実験室に、三密を避け、私を含めて4名の役員がいます。これから自己紹介という形で吉村理事長、スコット・ダグラス教授、そして吉永武史准教授の3名を紹介させていただきます。宜しくお願い致します。 

(吉村氏) 

 皆様こんにちは。初めてのオンラインセミナーで、いろいろ不都合があると思いますけれども、今から16時半まで是非宜しくお願い致します。 

(スコット氏) 

 早稲田大学人間科学部教授のスコットです。宜しくお願いします。今日は私の実験室からホストをさせていただいていますので、無事に終えられるように頑張りたいと思います。皆様どうぞ宜しくお願い致します。 

(吉氏) 

 皆様こんにちは。早稲田大学の吉永と申します。今日はZOOMの方をバックアップさせていただきますので、もし不都合等あれば、チャットの方にコメントをしていただければと思います。皆様本日は宜しくお願い致します。 

(頼住氏) 

 皆様16時半までの長丁場になりますが、どうぞ宜しくお願い致します。一点だけお願いしたいことがあります。講師の話を聞くときはミュートでお願い致します。講義を聞くときは必ずミュートでお聞きください。宜しくお願い致します。


■会長挨拶 池田 哲雄氏 
(ベースボール・マガジン社代表取締役社長)

(頼住氏) 

 これから、会長挨拶ということで、海部俊樹会長の代理と致しまして、副会長であります、池田哲雄ベースボールマガジン社代表取締役社長よりビデオでの挨拶を差し上げます。 

(池田氏) 

 あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。私、池田が海部会長に代わりまして一言挨拶を述べさせていただきます。昨年から新型コロナウィルス感染拡大で自粛生活本当に皆様苦労されたと思います。その中で、ティーボールは非常に普及における成果を挙げました。こういう感染拡大の危機感迫る中で皆様各地方の指導者が一丸となってティーボールの普及に努めていただきまして本当にありがたく思います。私も吉村先生からその成果を聞いているわけですけれども、ティーボールのいろんなグッズがたくさん売れて普及に貢献したというお話を聞いております。本当にお疲れ様でした。 
 今年はどういう年となるか、新型コロナウィルス、まだまだ予断を許さない状況にあります。昨年は早稲田大学野球部が10シーズンぶりの優勝、46回目の優勝を飾りました。小宮山監督が恩師の石井連蔵先生に餞ができるということで涙を流すシーンが本当に印象的でした。今年は、ティーボールを基本としたソフトボール・野球型スポーツがどのようなドラマを見せてくれるか、本当に注目されます。私も皆様と一緒に微力ながら、ティーボー ルの普及、野球・ソフトボールの発展のために尽力していきたいと思います。東京五輪も今年行われる予定ですので、大いに盛り上げて指導者の皆様と共に歩んでいきたいと思います。本年も一つ宜しくお願い致します。 


■顧問挨拶 亀岡偉民衆議院議員 

(頼住氏) 

 続きまして顧問挨拶ということで亀岡偉民衆議院議員からビデオでのご挨拶を差し上げたいと思います。お願い致します。 

(亀岡氏) 

 第28回ティーボールセミナーの開催、誠におめでとうございます。昨年から、コロナ禍で皆様の活動は自粛、自粛と大変だったかと思います。しかしながら、それぞれの学校は再開してから、様々な形で取り組んで下さり、このティーボールを体育館の中で活用するなど、いろいろなところで取り組んで下さる学校も増えてきました。やはりティーボールは投手のいない野球ということで、やりやすいという部分とチーム競技であるということが良さであります。現在、残念ながらコロナ禍ということで、人を批判することが非常に多い中でチームワーク、チームプレーというものは非常に重要視されています。だからこそ、このティーボールを活用し、小学校の低学年だけでなく、高学年の子ども達、できれば中学生でも楽しむためのスポーツということで、取り入れてもらえれば最高かと考えております。私も、この間まで文科省の副大臣をやっておりましたが、できる限りスポーツに勤しむような学校環境を作ってほしいと思います。昨年、甲子園中止になりましたが、どうしてもやってほしいと要請を出したり、夏の大会の中止が決まったときは文科省が動いて各県に働きかけをしていただいたりしました。文科省から予算をつけてもなんとしても県の大会を開催してほしいと依頼をさせていただいたら大会を実行していただくことができる運びとなりました。そのおかげで子ども達は、夏の中でまさに心の貧困にならずに済みました。家庭も頑張っている大変な中で子ども達の1つの目標、過程ができ、結果を出すことができました。これは勝っても負けてもやってよかったと感じております。ですから、今年はこのコロナにも負けないように、ティーボールをしっかりと活用しながら多くの子ども達がこのベースボールという競技に少しでも馴染んでもらい、できる限り体を動かすことに慣れてもらうことが大事なことであると思っておりますので、行く先々で ティーボールの良さを皆様にアピールをしていただき、ルールに関しては、それぞれの地 域で考えていただけたら良いと思っております。このティーボールの良さというのは、正確なルールがあるにしても、このコロナ禍の中でいろいろとルールを変えながらも行うことができるということであり、少子化が進んでいる地域の子ども達は、その子ども達を半分に分けて行うといった工夫や先生方を交えて行うといったいろいろな工夫をすることによって楽しむことができます。そのため、学校の中だけではなく、地域スポーツの中でも 地域の連携を深めるために取り入れていただきたいと考えております。福島でもできる限り、社会スポーツということで10年前からいろいろな紹介をしながら取り組んでおります。全国各地の皆様には、ティーボールの良さを理解していただいた中で、コロナ禍に負けないチームプレーで投手のいない野球というものを楽しんでいただけるような環境作りのお手伝いをしていただければ、必ず生活の中でもストレスに負けない環境ができあがっていくと思っております。ですので、皆様にはいろいろな意味でティーボールを知っていただ きたいと思っております。そして、正しいスポーツとしてのティーボールを理解しながらも、その地域に合ったルール作りをしていくということが、コロナ禍の中で柔軟に対応することのできるスポーツとして、ティーボールをおすすめしたいと考えております。関係者の皆様には一生懸命頑張っていただいて、全国大会が開催できなかったとしてもそれぞれの地域の中でスポーツとして、ティーボールをしっかりと根付き、将来のプロ野球選手 またはいろいろなスポーツへ変化することのできる環境作りのためにティーボールを活かしていただきたいと考えておりますので、この研修会が皆様にとってより良い研修会とな るよう心から御祈念申し上げて励ましの言葉とさせていただきます。この研修会のご成功をご祈念しております。セミナー開催、誠におめでとうございます。 

(頼住氏) 

 池田副会長、亀岡顧問からのご挨拶をいただきました。ありがとうございました。 


■基調講演I スコットダグラス氏 (早稲田大学人間科学部情報科学科教授) 
「コロナ禍におけるオンラインコミュニケーションの重要性」
 

(頼住氏) 

 続きまして基調講演 I ということで、早稲田大学人間科学部情報科学科教授、スコット・ダグラス先生より「コロナ禍におけるオンラインコミュニケーションの重要性」と題しましてご講演をいただきます。宜しくお願い致します。 

(スコット氏) 

 皆様こんにちは。大勢の皆様に参加していただいており、大変ありがたいと考えており ます。今日は日本ティーボール協会のビデオ会議を皆様にご紹介してほしいという話で始めます。私達は現在、コロナの影響下にあり大学は4月からオンライン授業をしています。また、多くのビジネスがワークアットホームの形で、オンライン会議が1年前と比べると考えられないほど大事なコミュニケーションの手段になっています。私みたいなテクノロ ジーを趣味、もちろん専門で関係していることもあるので新しい機械、新しい方法でやってみることを結構楽しくやっています。私の反対側に吉村先生がいらっしゃいます。吉村先生は、テクノロジーを使おうと思ったら使えるのでしょうが、「楽しく」ではないでしょうし、困っていることが多いのではないかと思います。そこで吉村先生やティーボール協 会が、このニューノーマルになれるためにどうすれば良いかを私に相談してくださいました。そのときに私もティーボール協会をどういった状態でやるのか、これからどういうニーズがあるのか様々な話の上、それぞれ準備を行って参りました。今日は皆様にどういう準備をしたのか、実際に今どういう状況でやっているかをご紹介し、そして最後の方に皆様に私自身のワンポイントアドバイスのようなものを差し上げたいと思っています。 

【ニューノーマル対応するために用意したもの】 

 ニューノーマルがコンピューターやインターネットだけだったら何もならないので、ソ フトウェアが必要です。ソフトウェアには様々なものがあるのですが、会社あるいは学校でGoogleを使ったり、Microsoftを使ったりしています。たまたま早稲田大学はZOOMを選んだということで、今日はZOOMということに関して話をさせていただきたいと思います。ZOOMを動かすには、基本的なハードウェアが必要です。PCのほか、スマートフォンでもタブレットでも可能であると思います。ただ、マイクロフォンとカメラさえあれば、 便利です。私は Mac好きなのですけども、Macがかなり使いやすいと感じます。今のとこ ろ、MacはMacBook、MacBook Pro、MacBook Air、全てにカメラが搭載されております。そしてマイクロフォンも入っています。そうするとこの機械があればこの1台で簡単にZOOM会議に入ることが可能です。もちろんZOOMだけでなく、私も日常的にドキュメントを作ったり、エクセルファイルを作ったりなど様々な仕事をしておりますが、個人的にこれくらいの機能があると十分でないかと考えております。ただ、日本ティーボール協会は組織として真面目な仕事がありますから、どういうものが良いのか考えました。そうするとやはりコストパフォーマンスが良いものでないと意味がないでしょう。NPO法人であるし、私自身大学に入ってから長い間お金がほとんど無かったものですので、少ない機械でできるだけ多くの仕事をできるようにしていたと思います。私がケチケチ教授という話も有名だと思うのですけれども、コストダウンをしてなるべく多くのパフォーマンス ができるようにと考えております。今、映像に出ているのは、今私達が使っている機械です。Macとその上に搭載されているカメラです。今の映像はこの前の理事会ですかね、理事会の皆様のプライバシーを守りながら、小さく写真を撮ったのでありますけれども、どういった機械が組織として仕事をするために何が必要なのか、一応リストを作りました。まずコンピューターが必要です。コンピューターのiMacやノートパソコンならモニターが付いていますが、付いていないものもありますのでその場合はディスプレイが必要になります。ディスプレイは、ティーボール協会では毎日使うわけではありませんので、キャス ター付きのスタンドであれば邪魔にならないように倉庫に移動するということが可能になります。そしてカメラ、マイクロフォン、スピーカーなど様々なアクセサリーも必要です。ライトもあるに越したことはないですが必須ではないと思います。大体このようなリストでシステムを作り始めました。順番でいきますと、コンピューターはMac miniが良いだろうと思いました。Mac miniはディスプレイが付いていないので小さくてコンパクトという 特徴があります。協会事務所が狭いところですのでできるだけコンパクトな形で作った方が良いと思います。私自身の方も日常的にMac miniを使っていますがかなりハードな仕事でもこなす力があります。その次はディスプレイです。皆様のお手元のディスプレイには 11インチ、13インチ、16インチと様々な大きさがあると思うのですが、1対1だけではなくこのセミナーや先日の理事会と同じく、多くの方々の映像がいっぺんに見える方が良いです。そのような時はやはり大きいディスプレイでないと使いにくいだろうと思います。そのため27インチのディスプレイを買うことにしました。その次は先程伝えたスタンドの話なのですが、これはご自宅で必要ない場合がほとんどだと思いますし、会社の中でもこの形は少し邪魔になるかもしれないです。協会にはそれぞれのデスクトップの機械があるのですけどもビデオ会議のために倉庫からキャスターで動かしてセットアップしやすい形であれば良いでしょう。これがAmazonから取った画像なのですが、上の方が選んだディスプレイで、私達はこの下のディスプレイは持っていませんがMac miniとスピーカーが付いている台です。台があるのと無いのでは大きな違いがあります。これによって協会でも使いやすくこのようなビデオ会議ができるようになります。何よりもキャスターがあるということで簡単に動かすことが可能になったということでこの台を買うことにしました。カメラに関してですが、多くの場合はPCに内蔵されています。先程のMacBookやスマートフォン、タブレットにも全てカメラが付いています。PCにおいてはある場合と無い場合 を聞いているのですが、この後そのような内蔵と外付けのカメラを比べる画像があります。このようなカメラは1つ買うだけで大きくビデオ会議のパフォーマンスを良くします。なぜかと言うと画素数が良いからで、このモデルはマイクロフォンとライトも付いています。ライトとしてはあまり強くないものなのですが、もし個人的に自分の机の上に乗せるなら無いよりもあった方が良いだろうと思います。その次はこのマイクロフォンです。画像の下のマイクロフォンにしたのですけれども十分に扱いやすいのではないかと思います。今はこのスタンドに付いているのですが、付けなくても軽いので机の上に乗せても良いですし、手に持っていても良いと思います。もちろん個人的には内蔵のマイクロフォンを使っても良いのですが、私達が多くの人と話をするときにディスプレイから離れてしまいます。 ですが離れすぎてしまい声が聞こえなくなってしまってはいけません。ビデオ会議だけでなく私が行っている大学の授業でも学生達は私の話が聞こえないと眠くなってしまいます。見えない、聞こえないというのはいけないと思いますので、一応マイクロフォンを付けました。最後にこのライトです。これから例を紹介したいと思うのですけれども、あるのと無いのではかなり違いが大きいですので、多くのビデオ会議に参加するのであればライトを付けた方が良いでしょう。 

 まとめですが、今日紹介させてもらったセットアップはやはりセミプロです。個人的な ものよりも少しお金かけて、1人ということよりも何人もが同時に使えるようにというよ うな形ですけれども、1つデバイスとして自分のハードウェアを少しアップデート、アッ プグレードしたいと思っている方がいらしたら、やはり外部のカメラ、マイクの付いているカメラの方が、やはりパフォーマンスがだいぶ良くなるのではないかという風に考えています。今日はここまでがハードウェアの話でした。皆様とこれからも話や仕事が進める ように準備するという話です。 

【オンラインミーティングにおけるワンポインアドバイス】 

 これから、少し個人的なアドバイスを皆様に差し上げたいと思います。今日は3つのこと、その1つはカメラの高さです。カメラが大体低すぎる、または角度がおかしいというところです。カメラ自体が、内部のものなのか外部のものなのかという違いと、後は先程話したライティングのことを少しアドバイス差し上げたいと思います。この写真です。表情が見えづらいということが問題です。後は机の上にノートパソコンを置くと、どうしてもノートパソコンの蓋がある角度じゃないと顔に写らないので、下から顎の下、鼻の中しか見えないということが多いです。そうするとその場合どうすればいいのでしょう。ノートパソコンを持ち上げること、良いのではないかと考えています。そうすることによって、一応こういう角度になります。顔の形が自然になるし、会話のように、目が合っているの で、いいのではないでしょうか。その次は内部と外部のカメラです。左側が私のiMacの内 部のカメラで、もちろん両方の写真の中で、後ろがかなり明るく、前が暗いですが、一応内部のカメラ自体があまり賢くありません。そうするとこれくらいの映像しかできません。 外部のカメラがもう少し賢くて、右側の写真はもちろんまだ少し暗いイメージなのですけ れども、電気が付いたら十分に表情が見えるのではないかと考えています。暗いから誰が話している、どういう状況で話しているということが分かりません。そうするとその場合少しでも横側の窓を開けて、小さな電気を付けるとかなり違います。機械が一緒なのに電 気だけでだいぶ良くなったという風に考えています。最後に、ZOOMならバーチャルバックグラウンドが使えます。今私の後ろがスコットゼミの研究室の映像で、写真でもあります。そうすると学生と話す時に、実際に対面で私の研究室で会わないのですけれども、雰囲気作りとして、私の研究室の写真が会議の中で出ています。今回の場合は後ろのほうが明るくなったということが良いのではないかと思います。 

 私が日本ティーボール協会のビデオ会議の説明と少しの皆様のオンライン会議のアドバイスを差し上げました。これからも残念ながら対面で会わないことが多いと思うのですが、バーチャル会議をうまくするために、皆様がいろいろ調整することは可能ではないかと考えています。以上です。 

(頼住氏) 

 スコット先生ありがとうございました。ビデオ会議におけるハードウェアの重要性、そ してカメラ目線からライティングに至るまで事細かに有意義なお話をいただき、ありがとうございました。 


■理事長講演 吉村 正氏 (早稲田大学名誉教授・中国煙台大学客員教授) 
「コロナ禍における日本ティーボール協会、今やれること」 

(頼住氏) 

 続きまして理事長講演ということで早稲田大学名誉教授、中国煙台大学客員教授でもあります、吉村正理事長より、「コロナ禍における日本ティーボール協会、今やれること」と題しまして講演をいただきます。お願い致します。 

(吉村氏) 

 改めましてこんにちは。今から20分ほどお付き合い願います。「今やれること」、これを語る為には、この1年間、日本ティーボール協会が何をしてきたか、そしてこれから1年間何をしていくのかを述べさせていただいて、その後、今やれることについて皆様方と考えていければいいなと思っております。昨年の1年、第27回のセミナーを終えてから、コロナで本当に大変でした。1年間大きな仕事は4点あったかと思います。1つは事務局の移転です。2つがホームページのリニューアルです。3つが川崎のぼる先生に手洗いの絵を描いていただいて、ポスターを作る、タオルを作る、ハンディタオルを作るという広がりです。4番目は今スコット先生が説明してくださったように、事務局の充実について、会議をどうしたらいいか、テレワークをどのように行うかということです。この4点を簡単に説明させていただきます。 

【事務所移転について】 

 結論から言うと、事務局を東村山に移転して非常に良かったと思っています。2月の中旬から講習会、大会はほとんど中止になりました。実際に3月の半ばくらいからテレワークを開始して、ご存知のように4月7日から5月31日までは緊急事態宣言なので、高田馬場の事務室は完全に閉室致しました。誰も入れないように致しました。そして6月1日から8月31日まで私のみ、毎週月曜日1時間、郵便物を取りに行くという仕事をさせていただきました。その間、皆様方には大変なご迷惑をおかけしたことをこの場を借りてお詫び申し上げたいと思っております。6ヶ月間、高田馬場の事務所に行かなかったものですから、固定費が大変です。そしてその間に事務所を移転することを考えました。今日出席の小西さんとはまず、東伏見に行きました。狭いところで11万、12万円取られます。次に土方さんと秋津、新秋津の方にも行きました。ご存知のように、北陸の方が来やすい武蔵野線が通っていますので武蔵浦和、南浦和、南流山は奈良先生の方からでも来やすいということがありました。南の方に行くと西国分寺、登戸、溝口などは中央線、小田急線、半蔵門線などを利用される方は来やすいということで、新秋津等で探していたのですが、古い、狭い、汚い、高いということでやめました。そして最終的に東村山の今の事務所にさせて いただきました。固定費は高田馬場の半額以下になっています。事務局としましてはお金のセーブということを務めさせていただきました。結論は先に言いましたように、「本当に事務所を移転して良かった」、「腰を据えていろいろなことができるようになった」という風に思っております。 

【ホームページのリニューアル】 

 そして、その腰を据えている間に我々は何をしたら良いのかということを考えました。1つにこの27年間あるいは30年、40年間にやってきたこと、また、溜まっている写真1万枚くらいの整理、新聞記事の整理、それから手紙の整理、いろいろなことの整理、巣ごもりの整理やりました。そして、それをやった上で記念誌を作るか、ホームページをリニューアルするか、いろいろ考えました。結論から言うとホームページのリニューアルをしました。今風 であると判断致しました。そこで、ホームページをどのように作ったかと言うと、私は先程 スコット先生の話でありましたように電子系が弱いのでホームページを見たことがなかったのですけれども、本づくりは60冊ほど書いてきたものですから得意でありました。という わけで、本づくりの要領で写真を集めたり、資料を集めたり、手紙を集めたり致しました。 序章、終章、その間に一章から十章くらいをイメージしました。序章では最新の情報を皆様 方にお伝えしました。理事長からのメッセージであるとか、事務局通信であるとか、密の無いティーボール、そういう類のものを序章として皆様にアピールしました。そして、第一章は日本ティーボール協会の紹介、先生方、役員の方々の紹介、日本式ティーボールとはどういったものかといったものでまとめました。また、全国大会でまとめました。第22、23回でしょうか。第二章は健康福祉、ミアヘルサでまとめました。第四章としてティーボールセミナーのグループを作りました。第五章として学校教育のグループを作り、教本をまとめて作りました。それから、地域への普及のために47都道府県の今まで皆様方が活躍された冊子をまとめてみました。また、職場で活躍されていることをそこでまとめてみる、用具でまとめてみる、それから、Q&Aでまとめてみる、といったことをしました。この新しいホームページをじっくり見てください。それから、そうやって十章ほど集めまして、プロのアドバンスの山内さんという専門家の方に7月の初めくらいに依頼しまして、そのプロの方に自由に9割方作り上げてくれという風に依頼しました。2ヶ月ほど使って良いものを作ってくだ さいました。それを女性の事務職員3人が大変なご努力をなさって、推敲したり、校正したりして現在の形になっているということであります。それをこれから皆様方の力を借りて、 更新したり、良いものにしていったりしたいという風に思っております。 

【川崎のぼる先生にイラスト依頼、そこからの広がり】 

 3つ目は、川崎のぼる先生に、絵を描いていただきました。これは6月の半ばくらいだったと思いますが、今、ティーボール協会として何ができるだろうかということで、「巨人の 星』の星飛雄馬の弟、妹さんが体育着で、またはユニフォームで手を洗っている絵を描いていただいて、それをポスターやタオルにすれば、かなり野球界、教育界の人達が喜ぶだろうなという風に判断したので、6月の終わり頃に、私は川崎のぼる先生に直接お電話を差し上げました。そこで、「こういうものを描いてくれないか」と言いましたら、皆様方、お手元にタオルとかポスターが届いたかと思いますが、それらの原本となる5枚の絵を描いてくださいました。そしてそれを、ポスター化しました。ポスターをここでお見せしても良いのですけど、イラストレート化するために、ここに出席してくださっている久米川 幼稚園の園長先生である、町田豊理事に大変なご尽力をいただいて、イラストレート化していただいて、ポスターを作り始めました。そのポスターは、初め日本ティーボール協会 のポスターだけ作りました。その後、日本ティーボール協会といろいろな教育委員会、それから野球団体、ソフトボール団体とコラボしようということで、さらにいろいろなものを作っていただきました。(ポスターを見せながら)これはティーボール協会と東村山町田学園とのコラボのポスターです。その次は日本ティーボール協会と幼児教育の方で活躍されているJACPAスポーツクラブの方々とのコラボのポスターになります。あとはリトル リーグ野球協会や日本野球連盟などにもこのイラストを送りましたが、その後どのようなものをお作りになったのかは、私の手元には来ていません。協会の中でも、東京都連盟の世田谷の方でもこういうポスターをお作りくださったようであります。お礼のメールも来ていました。そして9月に入ってから、ソフトボール協会の会長に三宅豊先生が就任されました。そのため、直接会長の三宅豊先生に公益財団法人日本ソフトボール協会とNPO法人日本ティーボール協会の同列でポスターを作ろうではないかと提案したところ、彼が非常に気持ちよく乗ってこられて、中央に群馬県ソフトボール協会と入れて、ポスターをお作りくださいました。後の彼からの報告だと、中央に北海道ソフトボール協会や東京都ソフトボール協会など47都道府県の名前が入っています。これをソフトボール協会で全面的にお作りになって広げていただいているというものです。ちなみに、竹島さん、我々富山県の評議員ですけれども、竹島さんは日本ソフトボール協会の副会長です。「竹島さん、富山どうなっているの」と聞いたところ、「こういうものを富山では作りました」と、こんなに大きいものを作っていただきました。それでここに公益財団法人日本ソフトボール協会、こっちは NPO法人日本ティーボール協会、真ん中に一般社団法人富山県ソフトボール協会です。こういう風にするのは、ティーボールのステータスを上げるために、偉大なる協会であるソフトボール協会と一緒にこういうものを作ったのだという風に世に知らしめるためです。そうしたところ、早速青森県の米沢さん、リトルリーグの理事長さんから私の方に連絡あって、「先生、こういうものが出来上がったので、我々ティーボール協会ならびにリトルはソフトボール協会と非常にコラボしやすくなって、良い大会をやれるようになってきました。大変ありがとうございました。」というお礼の電話等が来ました。こう言ったものが47都道府県でどんどん広がっていくといいなという風に考えております。そういう戦略をとったということであります。タオルの方は前回の役員会で示しました。先程スコット先生の発表のところでタオルがありましたように、ハンディタオルと、ここにもあるのですけど、もう一度お見せしましょう。役員の方々にはお配りしたのですけれども、こういうものです(タオルを見せながら)。これは会員の方々には皆様にお配りしました。また大会などではこういうものもあります。これを日本野球連盟、それからリトルの協会等に私が持って行って、「どうぞお使いください」という風な活動をさせていただきました。そして、何よりもこのティーボール協会に団体会員としてご貢献いただいている、ミアヘル サさんだとかガスパルさんだとかJACPAさんにこれを大量にお渡しして、こういうような活動をしているのだということを物で示させていただきました。また手紙で報告させていただいたりしました。このような活動をしたということであります。 

【テレワークに対応するために】 

 あと4番目はテレワークを行いやすいようにすることです。この活動を、これは先程スコット先生がかなり説明していただきました。それに加えて2月、3月頃から8月の終わ りぐらいまで、非常に優秀な女性の事務職員を3人いただいてですね、Office365とクラウドの整理整頓を見事にしてくださいました。だから非常にこれが今使いやすくなっています。そういうわけで事務職員もそんなにいらないといったほど、整理整頓されました。これは誇りに思えるほどの見事なものでありました。それと会議に関しましては、先程スコット先生がご説明くださいました。こんなことを1年間ずっとやっておりました。 

【今後活動について】 

 そしてこれからこの1年どうしていくのかということに入りますけれども、イベントがあります。今年の全国大会はもう決めましたというのは早いかもしれませんけど、12月になり ます。予選会は9月以降で十分だと思います。やはりコロナの影響です。7月、8月の30°C 台後半の気温で熱中症の可能性が十分にあり、非常に危険な状態で全国大会するよりも、例えば冬休み、26、27、28日頃にやる方が健康な状態でティーボールができると我々は判断しております。実際に去年の年末年始、特に年末の埼玉の西武ドームの気温を見ていますと大体12°C, 3°C(13°C), 4 °C (14°C)ぐらいです。今日の埼玉の気温は19°Cです。そういうわけで、それくらいだと、35°C, 37°Cくらいで全国大会をやるよりも12月で良いのかな、と考えています。そうすると、健康福祉をいつやるのかとなると10月の終わりごろをイメージしいて、ミアヘルサ、それも特例子会社もその辺りで大体まとまっていくのではないだろうかと思っています。どか点の幼児と小学校1年生の大会も11月の半ば前後ぐらいになるのかな、と考えています。10, 11, 12月ごろに集中的に大会を用意していきたいなという風に考えています。それともう1つ、来年のセミナーでありますけれど、1月22日土曜日、早稲田大学の国際会議場、もう予約は取ってあります。ワクチンが今年出回るだろうから、来年は例の今までやってきました国際会議場で十分できるだろう、と判断しています。翌日、中級の講習会もやる予定でありますので、皆様方の心に留めてもらったら大変ありがたいな、このように思っております。今までの1年、これからの1年を足早に説明してきました。 

 そこで今、我々は何をするべきかということで、ホームページで1つだけボーンと空白のところがあります。それが何かと言ったらQ&Aです。皆様方から、日本式ティーボールとはとティーボールとはなんだ、用具は何だ、ルールは何だ、役員とはなんだというような質問があったらそれに対して全部答えていきます。それを載せてゆく、Q&Aの充実、それから、冒頭申し上げましたように、アップデートの情報をきちんと皆様方にホームペー ジを通してお伝えする、事務局通信は週1、週2で確実に伝えることです。箇条書きでも良いです。それから、拙くくだらない文章かもしれませんけれども、私「理事長からのメッセージ」を、今年、先週、先々週、毎日書いています。そういうものを見ながら、そこから、このティーボール協会の歴史とか、日本式ティーボールの本質であるとか、今まで30年近くどのような方々が大いなる貢献をされてきたのかとか、こういうものを読み取っていただくととてもありがたいという風に思います。大体今やることをお分かりいただけた かなと思います。そして皆様方からは貴重な質問をティーボール協会のホームページの方 に投げていただければ、それに対して丁寧に事務局の方からお答えしていく、そういうも のを当分はやらせてもらうと良いのかなと思っております。ちょうど14時になりましたので、これで私のスピーチを終わりたいと思っています。このコロナ禍、粛々と皆様のお力とお知恵をいただきながら、協会運営、さらには大会、講習会等が開催できるような日常に戻していきたいと思っております。皆様方、本年もどうぞ宜しくお願い致します。 

(頼住氏) 

吉村理事長、ありがとうございました。 


基調講演 I
吉永武史氏 (早稲田大学スポーツ科学学術院准教授) 
「コロナ禍における球技、密のないティーボール・ソフトボールは最適」 

(頼住氏) 

 それでは基調講演 II を始めさせていただきたいと思います。早稲田大学スポーツ科学学術院准教授の吉永武先生から「コロナ禍における球技、密のないティーボール・ソフトボー ルは最適」という題でご講演をしていただきます。宜しくお願い致します。 

(吉永氏) 

 皆様、改めましてこんにちは。早稲田大学の吉永と申します。本日は、「コロナ禍における球技、密のないティーボール・ソフトボールは最適」というテーマで、これから20分ほどお話をさせていただきます。私自身は、体育科教育学を専門に研究を行っておりますの で、主に学校現場の体育授業をどう改善していくかということに日々取り組んでおります。その中で今回、新型コロナウイルスの感染拡大により、学校現場ではかなりご苦労をされながら子ども達の運動機会を確保するための工夫に取り組まれてこられましたので、そのことを中心に話をさせていただければと思います。 

【コロナ禍よる現状】 

 まず、こちらの写真は、緊急事態宣言発令後の週末のある公園の様子を撮影したものです。これは現在私が住んでおります、東京都の東村山市にある大きな公園を写したものですが、普段は週末になりますと、たくさんの子ども達がサッカーをしたり、ラグビーをしたり、野球をしたり、また近所の方々も散歩したり、ウォーキングをしたり、さらに年始には凧揚げをしたりするなど、多くの方々がこの公園を利用していました。しかし、緊急事態宣言発令後の週末にこの公園に足を運んだところ、いつもとは全く違う景色がそこにはありました。東京都では、今回で2度目の緊急事態宣言の発令だったわけですが、子ども達が運動やスポーツに取り組む機会がますます減り、健康被害が拡大するのではないかということが心配されています。そのため、新型コロナウイルスの感染が再び拡大したことに伴い、子ども達が運動やスポーツを行う機会が大幅に減少してしまうというこの問題をどのように解決していくか、また学校現場ではどのような対応に取り組まれているかを、次に述べていきたいと思います。 

 まず、運動を行う機会が減少していく、すなわち運動不足になると、間違いなく人間の体は機能が低下していきます。その結果、ストレス耐性や免疫等も落ちていきますので、疾病の発症へとつながってしまいます。つまり、病気となり、またそのことが身体活動を制限してしまい、その結果としてまた運動ができない体になってしまう。一度このような負のスパイラルに陥ってしまうと、なかなか抜け出すことができません。ですから、このコロナ禍の状況であっても、何とかして、子ども達が運動やスポーツを行える環境あるいは条件を整えてあげることが私達の課題であると考えております。最初に緊急事態宣言が出され、それが解除された後、子ども達の状況あるいは体育の授業をどのように行われているか、その実態を把握するために都内の複数の小学校を訪問しました。そのとき、いくつかの学校で、「例年よりも骨折をする子どもが多いです」という話を聞くことがありました。短期間運動しないだけで骨がもろくなってしまうことはないと思うのですが、おそらく日常生活において、体を動かさないことが原因となって柔軟性がなくなったり、巧みな動きができなくなったりして、久しぶりに体を動かしてみたら転倒して、骨折をしてしまったのではないかと考えました。新型コロナウイルスの感染予防が現在の最重要課題であるのは間違いないと思いますが、それと同時に子ども達の健康を保持増進していくために、体育の授業ではどのような工夫を行えばいいのか。このような質問を学校現場の先生方から多々受けることがございますので、この後、国から出されている方針を含めながらお話していきたいと思います。 

【体育の授業におる課題】 

 このスライドに示した内容は、いずれの場面においても共通事項であるとは思いますが、1点目は、皆さんにとっても馴染みのある言葉となりました「ソーシャルディスタンス」で、密にならないよう、一定の距離を保つということがあげられます。体育の授業では、授業の始めと終わりには必ず集合や整列を行いますので、これまで密になる場面があったと思いますが、現在では、一定の距離を取りながら整列をして挨拶が行われています。また、小学校では、今年度から新しい学習指導要領が全面実施となり、アクティブラーニング、すなわち主体的・対話的で深い学びをめざした授業が展開されるようになっているのですが、そこでは子ども同士が対話をしながら、互いに見合ったり教え合ったりするような学習場面を設定することが求められています。しかし、そういった場面を設定することでまた密になってしまったり、会話が増えたりすることが新型コロナウイルスの感染を拡大させてしまうことになってしまいますので、現段階では、一定の距離を保ちながら学習に取り組むこと、そのことは体育の授業でもしっかりと取り組んでいくことが求められています。 

 そして、2点目が、運動の前後に手洗いを行うということです。当初は、子ども同士が用具を共有することもなるべく控えるように、と言われていました。しかし、ボールやバット、鉄棒、跳び箱などを共有できないとなると、体育の授業で運動やスポーツを行うことは難しくなってしまいます。そのため、できる限り、用具の共有は避けながらも、やむを得ない場合は運動の前後にしっかりと手洗いを行うことで感染の予防ができるということで、現在は用具の共有も行いながら体育の授業は進められています。3点目は、十分に換気を行い、こまめに水分を補給することです。体育の授業は、なるべく屋外で行うことが望ましいのですが、学校によっては施設等の関係で体育館を使って行うこともありますので、その場合は十分に換気を行った上で子ども達に運動に取り組ませるようにします。もう夏ではないのですが、暑い時期はマスクを着用して運動することには熱中症等の心配がありました。そのため、先生はマスクを着けて、子ども達はマスクを着けなくても良いという形で授業は行われていました。ただ、先日発令されました2回目の緊急事態宣言後の体育の授業では、感染予防のため、多くの学校でマスクを着用しながら体育の授業が行われているということを聞いております。 

 また、文部科学省の方からは、次のような通知が出されていまして、子ども達が密集する運動や近距離で組み合ったり接触したりする運動については、地域の感染状況を踏まえながら、運動の時間を段階的に長くしていったり、年間指導計画、いわゆるカリキュラムの中で指導の順番を入れ替えたりするなどの工夫が考えられるということが示されています。特に、近距離で組み合ったり接触したりする運動の典型例として、中学校では柔道や球技等があげられますが、なかでも球技については、バスケットボールやサッカーなど、比較的に 攻守が入り乱れるタイプの種目についてはなるべく控えるように、となっています。その結果、どのような形で年間指導計画、すなわち年間カリキュラムの工夫が行われたかと言いますと、こちらに、中学校の保健体育科の年間カリキュラムの例をご紹介させていただきまし た。第1学年のところの前期だけ抜き出しますと、4月、5月は学校が休校となっていましたので、体育の授業は全くできないという状況にありました。6月ぐらいから学校が再開されるようになりましたが、本来であれば、この時期はゴール型のバスケットボールの単元が位置づけられていたのですが、ゲームは密になりやすいということで、残念ながらバスケットボールを実施することはできませんでした。その後、夏場ということで水泳の単元が設定されていたのですが、これについても、水中での新型コロナウイルスの感染ははっきりと言 われてはいなかったのですが、更衣室等が密になりやすいということで、今年度水泳の授業は、全国的にほとんど行われませんでした。さらに、器械運動についても、用具を共有する場面が非常に多いことからそれも今はできないということになりました。そのため、学校現場では「体育の授業をどうするか?」ということが大きな課題になっていました。 

【実際の例、ティーボールが最適】 

 では、このような状況下で、どのように工夫すれば体育の授業が実施可能かについて、ボール運動、球技を例にあげながら、ご説明したいと思います。まず、ゴール型のゲームについてですが、ゴール型には、バスケットボール、サッカー、ハンドボールなどがあげられます。例えば、ハンドボールでは、ゲームを行いますと必ず攻防が入り乱れることになりますので、このスライドのように、オフェンスとディフェンスが近距離になってしまう、いわゆる密になる状態が非常に多くなってしまいます。もちろんプレーヤーの人数を少なく、またコートスペースを広く確保したとしても、このような場面が出てしまいますので、今の状況で、ゴール型のゲームを行うことが適切かどうかは少し慎重に考える必要があると言われています。それでも、例えば、ゴール型のサッカーの授業でできることがあるとするならば、このように1人1個ずつボールを持って、足でボールを操作するような練習であるとか、一定の距離をとってパス練習を行うなどは想定されます。もちろん、これらの技能は、実際のサッカーのゲームでも必要となりますので、こういった練習であれば実施可能ということが言われています。また、ネット型については、例えば、バレーボールやバトミントンなどがあげられますが、このスライドには、小学校の中学年で行われるプレイボールという教材を示しました。ネット型の場合、ネットでコートが区切られ ていますので、ゴール型よりはまだ比較的密になることを避けることができると言われています。しかし、チーム内である程度ポジションを決めていたとしても、ボールを拾いに行ったりしてプレーヤー同士が近くなる場面が頻繁に起こりますので、どのように対応すればいいかは1つの課題としてあげられます。 

 そして、3つ目のベースボール型のゲームについてですが、ベースボール型にはティー ボールやソフトボールなどがあります。この写真は、小学校4年生の「三角ベースティーボール」の様子を写したものです。ベースボール型のゲームは攻守交代で行われます。しかも、プレーヤー同士が密になることはほとんどありませんので、広いスペースで、一定の距離を保ちながら、ゲームを楽しむことができると言えます。ちなみに、この三角ベースティーボールは、こちらの「笑顔いっぱいティーボール」に掲載された教材になりますので、日本ティーボール協会が作成した資料を参考にしながら、授業を行っていただくこ とができます。また、中学校の場合でも、例えば、この写真は打つ側からの視点ですが、 バスケットボールやサッカーのように密になる場面が非常に少ないことから、ベースボール型のティーボールやソフトボールは、間違いなく、現在の新型コロナウイルスの感染が拡大しているこの状況下においても、積極的に実施することが可能な種目であると言えるのではないかと思います。また、先程、アクティブラーニングの話をさせていただきましたが、ゲーム以外の場面、例えば、仲間同士で教え合いながら練習を場面でも、この写真のように工夫することで、一定の距離を保ちながら声をかけてあげたり、あるいは対話をしたりすることも可能となります。したがいまして、間違いなく、ティーボールやソフトボールなどのベースボール型のゲームは有効な教材であると考えています。 

 先程の文科省から出されている通知の中で、年間指導計画において指導順序の入れ替えということが示されていましたが、例えば、ベースボール型やネット型の単元を年間カリキュラムの前半に変更し、もし新型コロナウイルスの感染拡大が収束するのであれば、年間カリキュラムの終盤にゴール型の単元を位置づけるというような工夫が現場では行われています。このスライドは、先程示しましたように、実際、単元としてゴール型の球技、水泳、器械運動は実施できなかったのですが、4月から5月にかけて実施できなかった個人種目系の陸上競技の単元を6月に移動させ、比較的個人で取り組む内容が多い体づくり運動の単元を7月に、そして先程のゴール型の球技を替えてベースボール型のソフトボールの単元を9月から10月にかけて実施するといったように、この中学校では年間カリキュ ラムが修正されました。このような修正によって、コロナ禍の状況にあっても、子ども達に運動やスポーツに取り組む機会を保障することができ、ボール運動や球技の単元を通してゲームの楽しさや喜びを味わわせることができていることがこの年間カリキュラムから窺い知ることができます。 

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている状況にありますので、今、最も大事なことは、子ども達の健康安全をいかに確保するかということだと思います。ですから、今は決して無理をすることなく、それでも子ども達の健康を考え、運動やスポーツに取り組むことができる機会を保障するための工夫を考えていく必要があると思っています。そして、新型コロナウイルスが終息したならば、先ほどの吉村理事長の方からもお話がありましたように、この写真のように、紺碧の空の下、子ども達がグラウンドに集まり、ティーボール大会を楽しんだり、また、来年度は12月開催を予定しているとのお話もありましたが、また西武ドームに全国から子ども達が集まって全国大会を開催したり、さらに、いつもジャクパの方にご協力をいただいております、関東の幼児や小学校1・2年生の「どか点ティーボー ル大会」も開催したりすることができればと思っております。そして、子ども達だけでなく、年齢、障がいの有無に関係なく、すべての人びとがティーボールを楽しみ、笑顔になれるような取り組みを、協会の方ではこれからもサポートしていければと思っておりますの で、是非皆様方のお力添えもいただき、それらを実現していければと思っております。 

 短い時間ではありましたが、私の方からの話は以上となります。ご清聴ありがとうござ いました。 

(頼住氏) 

吉永先生ありがとうございました。 


■実践報告 I 河野 友里氏 (日本ティーボール協会職員) 
「日本協会、世の中で光り輝くホームページ作成を目指して」

(頼住氏) 

 続きまして実践報告に移りたいと思います。実践報告 Iとしまして日本ティーボール協会職員であります、河野友里さんから「日本協会、世の中で光り輝くホームページ作成を 目指して」と題しまして、ご講演いただきます。宜しくお願い致します。 

(河野氏) 

 ご紹介いただきました、現在日本ティーボール協会で職員をしております河野と申します。本日はどうぞ宜しくお願い致します。まず私の自己紹介を簡単にさせていただきます。私は一昨年まで吉村先生の下で早稲田大学ソフトボール部に所属し、またティーボール委員として活動しておりました。昨年2月からは当協会で職員としてお手伝いしております。 

本日は宜しくお願い致します。 

 私からは「日本協会、世の中で光り輝くホームページ作成を目指して」ということで、 協会のホームページリニューアルについてお話しさせていただきます。当協会では昨年2020年10月1日にホームページのリニューアルを行いました。主なリニューアルの実施の理由と致しましては、コロナ禍による新しい生活様式への対応のためです。昨年3月頃のコロナ禍の影響で、例年のような大会開催や講習会など対面での活動を行うことが厳しい状況になると考えました。そこで理事長の発案でコロナ禍においてもティーボール普及活動を発信していくためにホームページのリニューアルが計画されました。合同会社オフィスアドバンスの山内様にもご尽力いただき、約6ヶ月をかけ全面リニューアル致しました。 計画当初は緊急事態宣言が発令されるなど混乱しており当協会としても4月~8月末まで 基本閉室しておりましたが、3月頃からテレワーク環境を構築し在宅勤務中心とした業務にシフトしていたため、安全に配慮しながら、山内様と協力し、無事に理事長を始め職員皆が納得のいく自信作のホームページを完成させることができました。それではここからホームページの変更点について具体的に説明させていただきます。主な変更点としては①内容の充実、②最新の情報発信ページの作成、③分かりやすい内容・レイアウトとなっています。今回は①活動内容の充実、②最新の情報発信ページについてご説明させていただきます。まず①内容の充実に関して、説明致します。今まで協会で蓄積してきた様々な資料を基に協会の今までとこれからの協会としての活動を見据え、協会の核となる「10本の柱」を掲げました。「10本の柱」のうち、まず1つ目はティーボールの説明には欠かせないティーボール入門や協会紹介などの①ティーボールの紹介。2つ目は現在開催中で今年28回目となり、毎年文部科学省と厚生労働省からご後援をいただいている②日本ティーボールセミナー。3つ目は毎年所沢メットライフドームで行われている③文部科学大臣杯争奪全国小学生(小学3・4年生)ティーボール選手権大会と亜州(アジア)オープン大会。4つ目は老若男女、障がいを持った方も一緒になって楽しむ④関東健康福祉ティーボール大会、ミアヘルサ青木杯。5つ目は2018年から開始した幼児、小学1・2年生を対象とした⑤関東幼児&小学1・2年生どか点ティーボール大会。6つ目は例年全国各地で行われているティーボールティーチャーを養成する⑥TTA講習会。7つ目は「笑顔いっぱいティーボール」「ティーボールティーチャー指導教本」といった⑦教本。8つ目は地方での大会や各都道府県連盟のホームページといった⑧都道府県連盟の活躍。9つ目は東京ドームや京セラドームでのティーボール教室といった、「協会共催・後援事業。そして最後はアジアなど世界に広がるティーボールの紹介としての世界のティーボール。となっていま す。今回のリニューアルではこれらの資料を集め、電子化を行い、ホームページにまとめました。これにより今までよりもホームページの量・質ともに濃いものとなっております。 それではここから、実際のホームページを用いながら、一部を抜粋してご紹介させていただきます。まずはトップページです。現在、コロナ禍における「密の少ないスポーツ」としてティーボールが注目されているため、トップページにメッセージと右の方に「密のないティーボール」というものを掲載しております。こちらでは幼稚園から中学生まで使えるティーボールの教材例が掲載されておりますので是非ご覧ください。「密のないティーボール」は日本レクリエーション協会の協会月刊誌「レクルー11月号」にも掲載されましたものとなっています。また、漫画家の川崎のぼる先生にイラストを描いていただいた手洗いポスターも掲載中です。続いて「協会紹介」の「理事長からのプロフィール」を見ますと理事長の講演資料や新聞記事などの資料が掲載されております。そして続いて「四大行事」の「日本ティーボールセミナー」のページに移りますと、セミナーについては現在、 前回分までの全27回分の実施要項と抜粋を掲載しております。ご興味がありましたら是非ご覧ください。続いて「教本」についてになりますが「講習会と学校教育」のページに各教本の抜粋が掲載されておりますので、ご活用ください。そしてオフィシャルグッズのページにいきますと「教本や講習会DVD」の紹介、そして教本・DVDの申込書も設けてありますので是非ダウンロードしていただき、ご活用ください。続いて「都道府県連盟の活躍」 についてはトップページの右下にありまして、都道府県ごとに分かれており、各都道府県連盟のホームページに移動できたり、各連盟主催の大会情報などを見ることができたりします。また、今回のリニューアルでTTA講習会開催に関連する資料や英語・中国語・ポ ルトガル語版のテキストも掲載しております。必要な方は是非ご活用ください。何か資料等でご質問ありましたら、協会メールアドレスまでご連絡ください。最後にこの後スライドでご説明致しますが、トップページに移りますと、新しく最新情報を発信する場として 「理事長からのメッセージ」「事務局通信」「お知らせ」を設置しております。それではスライドの方に戻りまして、先程実際のホームページでもご覧いただいた、トップページに設けました「最新の情報発信ページ」3点について説明させていただきます。今回のホームページリニューアルに伴い、「理事長からのメッセージ」「事務局通信」「お知らせ」の以上3点を定期的に発信しております。「理事長からのメッセージ」ではティーボールの歴史から、その他スポーツのこと、また日付に因んだことなど様々な理事長からのお言葉を発信しております。「事務局通信」については週1回程度、事務局の動向などを掲載しております。「お知らせ」については事務的事項やイベント情報などを掲載しております。過去の投稿も閲覧可能ですので是非ご覧ください。以上がホームページリニューアルの概要になります。 

 ホームページの今後の展望と致しましては、先程理事長からお話がありました通り、Q&Aの充実を進めていきたいと思います。また、それとは別に年度内に協会の紹介動画や様々なテーマに分かれた動画をアップしていく予定です。そして当協会、ティーボールの 普及・発展のために「誰にでも見やすく、分かりやすいホームページ」を目指して、今後も改良を重ねて参りたいと思います。今後とも当協会並びにホームページを宜しくお願い致します。ご清聴ありがとうございました。是非、新しくなった当協会ホームページをご 覧ください。 

(頼住氏) 

河野さんありがとうございました。 


■実践報告 I 小宮山悟氏 (早稲田大学野球部監督・元メジャーリーガー) 「祝 天皇杯獲得・コロナ禍における早稲田大学野球部の指導法

 (頼住氏) 

 それでは皆様、続きに入ります。 早稲田大学野球部監督、そして元メジャーリーガーであります、小宮山悟さんから実践報告をいただきます。テーマは「祝 天皇杯獲得・コロナ禍における早稲田大学野球部の指導法」です。秋のリーグ戦では六大学野球で見事優勝致しました名監督であります。 

 それでは小宮山様、宜しくお願い致します。 

(小宮山氏) 

 只今ご紹介に預かりました、早稲田大学野球部監督を拝命致しました小宮山です。コロナ禍においてということで、時系列で説明をさせていただきます。 

【浦添市キャンプの中止】 

 昨年の2月末に浦添市でキャンプを行う予定で、荷物をすべて浦添に送り、後は練習を数日して浦添市に向かう直前になって、大学側から「沖縄に行くのを見送ることはできないのか」、という要請がありました。こちらとしては、コロナの感染防止に努めながら練習をするつもりでおりましたが、野球部部長の川口先生と話した結果、万が一のことがあった場合、沖縄から東京に戻ってくることができなくなる可能性があるので、状況が状況なだけに自粛すべきではないかということで、直前になってキャンプをキャンセルし、東伏見に残って練習をするということで対応をしましょうとなりました。しかし、沖縄に行って事情を説明して詫びを入れなければならないということでした。そこでマネージャーを1人連れて沖縄まで行って一泊で浦添市と浦添体育協会にきちんと話をして、翌年(2021 年)のキャンプの予約を済ませました。市長のところにも、昨年は申し訳ないけれども、とお詫びを入れに行って始まったシーズンでした。 

【ロックダウン中の練習や試合】 

 その間、当初は特別こんな騒ぎになるとは想像もしていなかったものですから、のんびりと構えていて、通常のオープン戦も大学のルールに乗っ取ってこなしておりました。ルールで言うと、相手チームが早稲田サイドに乗り込む場合、2週間前からの行動履歴と、当日の検温の全てをクリアしたうえで、1週間前までに名簿を提出してもらってその人間に問題がないと確認できたうえで、来場してもらって試合をするというものです。意外と上手く試合をこなすことができて、13試合ほど3月末までの間にこなすことができました。基本的には暖かい場所での練習ができなかったというだけで、チームビルディングに関してはある程度できていたのが現状です。ただいよいよ怪しいということで、3月28日から 4月5日まで、大学から活動自粛という指示が出ました。もちろんソフトボールも含めて全ての運動部が活動自粛ということになりました。そうしているうちに4月5日が明けて、6日、7日と2日間練習をしている中で8日からの校内立ち入り禁止、いわゆる「ロックダウン」が下されて、練習ができなくなりました。実際に4月7日に競技スポーツセンター所長が野球部の安部奈まで来て、部長と私、競技スポーツセンター所長、事務長の4人で面談をしました。「野球部の安部寮を解散しろ」、「それぞれの家に帰せ」というようなことでの指令がありました。しかし、これを川口先生が頑として受け付けず、「部員にとってこの安部寮は学びの場なので、ここを解散するわけにはいかない」ということで、場所を確保していただきました。そのロックアウト期間中に寮にいるものは寮の中で練習をしました。ありがたいことに、少ないですけれども、講堂、中庭、屋上を使って野球の練習にはなりませんけれども、基本的な練習をしました。例えば、投げたり打ったりバットを振ったり、ボールを捕ったりネットに向かってボールを投げたりということができるだろうということでした。グラウンドから練習に使えるものを持ち運び、球場の利用はできないけれども、寮の中では練習ができるようにしました。レギュラーとされるメンバーに、とにかく練習できる環境だけは用意しておかないといけないと指示を出しました。投手と野手合わせて6名の通いの部員も、寮で合宿生活を送りました。新たに寮生という形で寝食をともにさせて、授業の合間を縫って何とか練習をしようということで、考えながらやりました。昨年ドラフトで指名された早川はグラウンドが使えない分、寮の周りの一般道をとにかく走る等、体力を維持するためにいろんな努力をしておりました。そのロックアウトが当初4月21日解除ということだったはずなのですけれども、延長されました。結局宣言は5月25日に解除されますけれども、5月末まで工夫しながらというところで、5月13日に六大学野球連盟とこういうオンラインの形でミーティングをしました。春季リーグ戦が春には無理だけれども、夏に行うことが可能だということになりました。時間としたら非常に厳しい状況ではありますけれども、イレギュラーな1試合ずつ5試合のリーグ戦なら可能だということで、その方向で進めようということで目標ができました。 

【ロックダウン後の練習】 

 そうこうしているうちに、5月末、22日に一部ロックダウン解除ということでグラウンドに入って練習できるという環境ができました。その時のルールが、何を根拠にその基準になったのか分からないのですが、2時間未満、3名以内での練習は可能、寮にいる部員はグラウンドに来て練習して良いこととなりました。そこで3人1組で4部か5部に分けて、8時から16時または18時まで2時間ずつ刻んで時間別で練習しました。その2時間、ピッチャーが投げるかもしくはマシンを使って、野手達はとにかく打ちっぱなし状態です。 順番に打ってボールが無くなったら回収しての繰り返しで打撃練習をして、その後終わってから少し走ってという感じでした。ピッチャーは、球場の中では3人というルールがありましたけれども、練習する場所が違うのでレフト後方のブルペンもしくは外野のフェンス沿い、後は寮の周りを走るという形でなんとか時間を使って練習させていました。週に1度程度ブルペンに入ってピッチング練習をさせました。通いの者に関しては申し訳ないけれども、「各自で体調を整えておけ」という指示を出しました。実際に6月7日に立ち入りの許可が降りて8日から通常の練習だということでしたけれども、4月から思うように体を動かせていないと思います。もちろんそれぞれが自分にとって良いとされる練習をこなしているはずなので、全く動いてないということはなかったと思います。そこで、通いの連中すべてに実際に練習を自粛しなければならない状況になる前の段階の体力に、自分のレベルが戻るまでどのくらいの日数が必要かというアンケートをとりました。最短で1日で大丈夫だという者もいましたが、最長で2週間という返事がありました。なので、この2週間を、体力をもとに戻すための期間という位置づけで学生達に任せて2週間後から正式に全体での野球部としての練習を開始するということを言い放ちました。中には、そ の2週間が物足りないという者もいたと思いますし、ひょっとしたら全く何もやっていなくてその2週間を本当にヒーヒー言いながら体力を戻すということに努めた者もいるかもしれません。とりあえずこちらとしては2週間我慢をして、練習には携わらずバックネット裏からずっと注視するのみという時間を過ごしました。 

【監督の落とた雷と思い】 

 ここで彼らに自分達がやらなければならないのだということで、「自らを律し、自律しろ」ということを彼らに新チームになってから思いを託してずっと唱えていました。しかし、残念なことに夏のリーグ戦はところどころであまさが出て、思うようになりませんでした。その時に、彼らにすべてを委ねていたにもかかわらず思うようにならなかったこと で少し熱くなり、学生に対して「ちゃんとやれ」ということで雷を落としました。その雷が、監督就任以来最も大きな雷でした。それを受けて学生達も多少ピリピリした感じには なったと思います。 

【元野村監督からの連絡を受けて】 

 更には、メディアが挙って来て、いろいろな話をした時にそういったことを話したら記事になりました。記事になったことを受けて、大阪にいる元監督の野村徹さんからすぐに電話をもらいました。「学生が自分達で考えて動けるように、余計なことをするな」ということで、鬼になって首根っこを押さえてっていう宣言をしたものを窘められました。キャプテン早川を含め、幹部の副将・主務、学生コーチ等、全員を呼んで、監督室で事情を説明しました。やろうとしていたことを野村さんに叱られ、それをすべて学生が自分達で考えてやってこそ、大学スポーツだ、と思い直し、彼らにもう一度すべてを委ねて「お前らに任せた」ということを話しました。 

【早川主将が中心となったチーム】 

 これに早川の心に火が付いたようで、早川主将が部員に対して、「とにかく自分達でどうにかしないといけないのだ」ということや、学生コーチの杉浦が中心となってチームビル ディングを1からやり直すこと、そして練習メニューも含めて自分達で考えると言いました。さらに、毎朝「今日こういう練習がしたいです」ということで、私のところにその練習の内容を持ってきました。基本的には委ねていますから、言うことを聞いてやらせました。ただ、「これはどうだろう」と思うことに関しては、だめだという言い方ではなくて、「こうしたほうが良いのではないか」とこちらの意見を言うことで彼らにもう一度再考を促すということをしました。そして、結果秋に優勝することができたので、彼らにとっても自分達で自分達を何とかするのだという思いが、浸透したのだと勝手に解釈しています。 

【これからの早稲田大学野球部】 

 これからもコロナということも含めて、基本的にはやれること、やれないことがはっきりと理解できているはずです。したがって、しっかりとやれることを自分達で考えながら チームにとってより良い方法を模索して、最終的にリーグ戦に勝てるチームを作り上げることを目標に努力をさせようと思っています。実際のところ、やってみないと分からないところがありますけれども、選手には必死になってボールを追いかけろとは言っています。こちらのスタンスとしてはやはり「努力することの尊さをしっかりと理解した上で社会に出てほしい」と思っております。実は勝った負けたというのは二の次で、「勝つために自分は最善の努力をしたのだ」ということを、胸を張って言えるような野球部員を一人でも多く世の中に出すつもりで努力をしております。今のこの状況だと、春のリーグ戦もどういう方法で行われるのかも見えていません。秋に勝ったということで世の中も連覇を期待しているとは思いますけれども、チームそのものが新しくなっております。連覇ということは形式上そうであるということだけで、新しくなったチームでどれだけやれるのかというのを楽しみにしております。是非皆様も期待をして見ていてください。春でもし勝ったら秋は連覇の宣言をしますので、春はとにかく1つ1つミスのないようにしっかりとしたチームを作り上げてという思いでおります。そういう状況であります。説明がどの程度詳しく行き渡っているか分かりませんけれども、コロナ禍の状況でこういった形で練習を進め、ありがたいことに天皇杯を手にしたというご報告です。ありがとうございました。 

(頼住氏)

  小宮山監督、どうもありがとうございました。監督のお話の中で、努力する尊さ、勝つために最善の努力をすることを学生達が実践しているということで是非春のリーグ戦では 優勝を期待したいと思います。どうもありがとうございました。 


■実践報告 III 高橋 尚希氏
(早稲田大学ソフトボール部4年主将) 「オンライン授業、グラウンドでの練習、その葛藤の中で獲得したもの、成長したこと」

(頼住氏) 

 続きまして実践報告 IIIということで早稲田大学ソフトボール部4年生、キャプテンの高橋尚希さんから、「オンライン授業、グラウンドでの練習、その葛藤の中で獲得したもの、成長したこと」ということで高橋さんから実践報告をいただきたいと思います。 宜しくお願い致します。 

(高橋氏) 

 皆様、こんにちは。ご紹介に預かりました、昨年11月まで男子ソフトボールで主将をしていた、早稲田大学スポーツ科学部4年の高橋尚希と申します。今回、「オンライン講義、グラウンドでの練習、その葛藤の中で獲得したもの、成長したこと」ということで実践報告をさせていただきたいと思います。宜しくお願い致します。 

 プレゼンの流れとしては、今年1年の状況を説明させていただいて、その中での転換点、葛藤について説明させていただいて、最後にまとめという形で進めていきたいと思います。 では、本題の方に移りたいと思います。 

今年度の早稲田大学ソフトボー部の流れ】 

 今年の流れはどうだったかといいますと、新チーム発足からOFFシーズンにかけては例年通りではありましたが、3月にコロナウィルスの拡大に伴い、練習自粛をすることになりました。4月に緊急事態宣言が発令され、7月下旬ごろにソフトボール部としては、自主練習を開始しました。その後9月に全体練習が再開され、秋リーグ、全日本選手権の代替大会に出場したという流れが今年の流れです。私としては、この1年間、大きな転換点が3つあったと思っています。1つ目は緊急事態宣言下、2つ目は自主練習が開始された7月下旬ごろから全体練習再開までの期間、3つ目は全国大学選抜男子ソフトボール選手権大会代替大会1か月前、この3つに転換点、葛藤があったと感じます。では1つずつ流れを説明していきたいと思います。 

【転換点1 緊急事態宣言下】 

 1つ目は、緊急事態宣言下です。講義は完全オンラインで、尚且つキャンパスへの入構は禁止されて、グラウンドでの練習ができない時期が続きました。この頃コロナウイルス による自粛期間が長くなることが予想できて、正直、今年1年大会をできずに終わってしまうのではないかという不安はありました。ただ、大会があることを信じてやれることをやっていくしかないと考えて、男子ソフトボール部としてはこの4つの活動に取り組みました。 

 1つ目がレポート課題、2つ目がオンライントレーニング、3つ目がZOOMミーティン グ、4つ目がオンライン新歓、日本一になるために何ができるかを考えて、監督とも相談させていただき、以上の4つの取り組みを進めることにしました。では、それぞれの活動について具体的に説明していきたいと思います。 

【緊急事態宣言レポート課題】 

 まず1つ目、レポート課題についてですが、週に1度、幹部が設けたテーマに対して、部員全員が、レポートを提出するということに取り組みました。具体的なテーマとしては、全国の投手分析、ソフトボール部の部誌を読んでの感想、他の部員のプレー分析等徹底的に分析すること等、人間力を高めることに注力しました。書いたレポートに関しては、監督、コーチ、部員全員を含めたライングループを作成して、そこに提出し、全員が読める状態にして、緊張感を持って取り組んでもらいました。 

【緊急事態宣言下のオンライントレーニング】 

 続きまして2つ目はオンライントレーニングです。具体的には、部員全員を6人ごとの ライングループに分割して、週6日LINEのビデオ通話機能を用いて、オンラインで顔を合わせました。そこで体幹トレーニングや素振り、アジリティトレーニングに取り組みました。コロナ禍でも、練習再開したときにすぐに動けるように、基礎体力を維持するということに焦点を当てて取り組みました。メニューに関しては曜日ごとに固定して、この曜日は腹筋、この曜日は、アジリティトレーニングのように決めて、トレーニングを行っていました。 

【緊急事態宣下のZOOM ミーティング】 

 3つ目は、ZOOMミーティングです。具体的には週に1回行っていたのですけれど、ミーティングまでに幹部の方で、チームの課題について考えて、議論が必要な要素を見出して、それを更に監督と相談しました。その後に、ミーティングのテーマを定めて、それについて約1時間議論するということを行っていました。テーマについては、ソフトボール部の戦術の確認、ケーススタディ、各ポジションの課題の確認と対策等、様々なテーマにおいてミーティングをさせていただきました。 

緊急事態宣言下のオンライン新歓】 

 4つ目はオンライン新歓です。今年は、対面での勧誘ができないということ、そして男子ソフトボール部の4年生が多くいたので、1年生を集めないと、人数が少なくなってし まうことから、3年生が主体でありながらも4年生がサポートしました。また、こちらも週1回、監督コーチにミーティングを依頼しまして、アドバイスをいただくという形で新歓を行っていました。コロナ禍で取り組んだ新歓活動としての例をあげますと、SNSにおいて部員紹介動画をあげる、YouTubeチャンネルを開設して、過去のインカレの試合のハイライト動画、OBOGの方々の母校調査の依頼等を行いました。対面ではできませんでしたが、3年生を主体に取り組みました。練習ができない中でどういう活動をしていくか考えて、以上の4つの活動を通してプレーよりも頭を使って、人間力を高めることを重点として行いました。 

【転換点2 自主練習開始されて】 

 続いて、7月下旬頃の自主練習が開始されたときです。この時期に何があったかと言いますと、オンライン講義がキャンパスで受けられるようになりました。一般の学生のキャンパス入構が認められました。体育会活動というのはあくまで課外活動でありますので、キャンパスで講義が受けられて初めて認められるという考えの下、先生方と相談をしながら取り組みました。最初は公共交通機関を使用せずキャンパスに来られる者に限って自主練習を許可し、徐々に行っていきました。その中でも体育会活動はコロナ禍で特別に許可されている活動であることを自覚して、練習中やキャンパスに来るまでの感染対策を徹底的に行い、部員の体調管理に努めました。ただ、最初は公共交通機関を使用しない形でしたので、遠方に住んでいる部員や帰省している部員は、正直この頃やりたい気持ちがあったと思います。練習に来られる部員、来られない部員のモチベーションの差がなるべく広がらないようにケアするのがこの時期は一番大変でした。しかし今は健康を一番大事にして、感染しないこと、感染リスクを極力減らすことを優先するということを伝えました。さらに先程申し上げた、ZOOMでのミーティングを通して、チームのことを考える時間を作って、チーム全体が向かう方向は一つにしようと努力しました。8月になって、徐々に自主練習の規制も見直しながら、遠方の人もグラウンドに来られる状況になってきて、9月頃に全体練習再開するに至りました。9月中旬にはすぐに秋リーグを迎えたのですが、 準優勝することができまして、これまでやってきたことというのは、間違っていなかったとこの時感じることができました。 

転換点3 全国大学選抜男子ソフトボール選手権大会直前1か月】 

 最後は、全国大学選抜男子ソフトボール選手権大会代替大会直前の1か月です。ソフトボール部としては、コロナ禍での初遠征となる全日本選手権代替大会でしたが、全体練習も再開していて、もちろん自粛していたころよりも感染リスクが上がっていました。ただ、ここで部員が感染してしまったらこの大会に参加できないという不安がすごくありました。全体練習開始以降、朝晩の体温報告や練習前後での手洗い、うがい消毒、練習中の密を防ぐ等、感染対策を徹底していました。しかし中だるみをしないように、この1か月はより一層の感染対策への意識を強めました。遠征を計画する際は、バスでの移動時の注意 事項、ホテルに着いてからの過ごし方、試合会場での過ごし方等、常にチームで感染者を出さないことを第一として、先生方、監督コーチと相談をさせていただいて、入念に準備を行いました。その結果、無事誰一人として感染者を出すことなく、全日本選手権代替大会に出場することができました。自分の代はこうして幕を閉じることができました。 

まとめ】 

 まとめとしては、今年の1年はコロナ禍で大変ストレスのかかった1年でした。例年と違い、常に感染者を出さない、健康第一を掲げて、今やるべきことを考えてきました。最後の大会では、結果は1回戦で負けてはしまいましたが、主将をやらせていただいて、例年にない貴重な経験ができました。自分だけでなく、チームとしても例年にない経験ができ、次のステップに活かせるような1年になったと思います。先生方、監督コーチ、支えて下さった方々へ感謝致します。 

以上で実践報告を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。 

(頼住氏) 

 実践報告IIIということで、早稲田大学ソフトボール部4年生キャプテンの高橋さんにお話しをいただきました。 

 ちょうどプログラム通りのタイムテーブル通り進んでおります。皆様の中から講師の方に是非お話を聞きたいという気持ちがあるかと思いますが、プログラム通りに進めていきたいと思いますのでどうぞご理解をお願い致します。 


■学校からの報告 松岡修三氏 (江戸川区立第三松江小学校教諭) 
「コロナ禍における小学校でのティーボール指導」 

(頼住氏) 

 それでは、学校からの報告と題しまして、東京都江戸川区立第三松江小学校教諭、松岡修三先生からご報告をいただきます。テーマは「コロナ禍における小学校でのティーボール指導」ということで宜しくお願い致します。 

(松岡氏) 

 皆様こんにちは。江戸川区立第三松江小学校の松岡と申します。学生時代は、早稲田大学野球部で主務を務めておりまして、先程の小宮山監督の浦添キャンプなどの話などを聞いて、少し懐かしく自分が学生の頃を思い出していました。改めまして、優勝おめでとうございます。昨年度のセミナーに続き、今回も発表の機会をいただき大変光栄に思っております。どうぞ宜しくお願い致します。 

 本日は、コロナ禍における小学校でのティーボール指導ということで、本年度、コロナ禍で授業内容に制限がある中で実践いたしました小学校5年生のティーボール授業について報告させていただきます。 

【学校生活の変化】

 皆様、新型コロナウイルス拡大によって、学校生活で今まで通りにできなくなったこと がたくさんあることをご存知でしょうか。自治体によって対応が多少異なるかとは思いますが、まずは本校の実例についていくつか紹介させていただきます。 

 小学校では、児童が隣同士で机をくっつけて授業を受けるのが一般的かと思いますが、児童同士の間隔を可能な限り1メートル以上確保するように、と言われているため、もちろん現在は、隣同士で机をくっつけて授業を行うことができません。ちなみに、本校の6年生は39人学級ですが、問題を解くなど自力で学習に取り組む場面や給食の時間などは2つの教室に分かれて行い、子ども同士の間隔を空けるようにしています。 

 また、休み時間といえば、小学校の場合は、校庭で鬼ごっこをしたり、ドッジボールをしたりと、子ども達が元気よく遊んでいる様子が思い浮かぶかと思います。ですが、校庭があまり広くないため、密にならないよう、現在は学年ごとに割り当てを決めて外遊びを行うようになっています。本校では、2学年ずつ校庭に出て遊ぶ割り当てで外遊びを行っているため、子ども達が休み時間に外遊びをできるのは週に3回のみとなっています。これだけでも、子ども達の運動機会がかなり減っていることが分かるかと思います。ちなみに、外遊びができないときは何をしているかというと、基本的には、自分の席で静かに過ごすということになっています。よって、読書をしたり、教室のモニターを使って教材の動画を流したりと、子ども達が静かに過ごせるように工夫しています。また、外遊びがで きる時間が減っただけでなく、遊び方にも制限があります。いわゆる体と体が触れるような身体接触がある遊びは禁止になっています。そのため、外遊びの代表的な鬼ごっこも、手で相手の体にタッチすることなどが禁止されています。 

学習の仕方】 

 さらに、授業中の学習の仕方にも制限があります。児童が対面で接したり、顔を寄せ合ったりすることがあるグループや小人数での話し合い活動も禁止されています。私は現在、5年生の担任ですので、これから理科の授業では実験を行いながら学習を進めていく内容に入っていくことになっています。担任が実験をするだけでは子ども達の意欲も高まりませんので、これからどのように授業を進めていこうかを学年の先生方と悩んでいるところでもあります。 

 1年間の中で最も大きな学校行事の1つである運動会も、本校では保護者を入れずに、2学年ごとに行うという小規模運動会に変更したり、水泳の学習が中止になったりと厳しい状況が続いています。 

【体育科の授業と種類】 

 このような制限のある中で学校の教育活動が行われていますので、もちろん体育科の授業でもいくつか制限が設けられています。先ほど吉永先生のお話の中にもありましたが、6、7月頃は用具の共有も控えるということになっていましたので、陸上運動や個人種目を中心に行っていました。夏休み明けからは制限が少しずつ緩和されましたが、この1月に入り緊急事態宣言が発出されてからは、体育館での授業ではマスクを着けて行うことになりました。そして、体育科にとって一番悩ましいことは、身体接触を避けて学習できるように授業を行わなければならないということです。そして、身体接触が多い体育の授業の1つに、ボール運動があげられます。ボール運動は、バスケットボールやサッカー等のゴール型、バレーボール等のネット型、ティーボール等のベースボール型の3つに分けられますが、ゴール型のゲームは攻守が入り乱れることから、身体接触が多いとされています。また、ネット型のゲームは、対戦相手とはネットを挟んで離れていますが、味方同士による接触の可能性が大いにあります。このようなことから、ベースボール型であれば、密集せずにゲームを楽しませることができるのではないかと考え、身体接触が無くなるようなコロナ対応のティーボール授業を吉永先生からご指導いただきながら考え、今回実践してみました。 

【授業におけるティーボールのルール】 

 まずは、攻撃についてのルールの工夫です。右下の図がコート図になります。打者はボールを打ったら、塁上にあるコーンを回ります。その際、守備側から「アウト」がコールされるまで走ります。その結果、回ったコーンの数が得点となります。ダイヤモンドを一周してもアウトコールがされなければ、そのまま走り続けることができるようにしました。 そのため、1回の打席で大量得点をとることも可能になることから、一発逆転の面白さが含まれています。次に、コーンにバットを入れたら1点としました。そのため、どんなに良い打球を打つことができたとしても、コーンにバットが入らなければ無得点となります。これは、打った後にバットを投げることを防ぐために考えたものであり、安全面に配慮したルールといえます。最後に、バットをしっかり振るというルールです。私の思いとして、しっかり振って得点を取ることこそがこのティーボールの1番の楽しさに繋がると考えています。ですから、バントのように軽くボールに当てて得点を取ろうとする作戦が出てこないように、このルールを示しました。その他には、攻撃のチームが1人1回ずつ打ったら攻守交代とし、2イニング制でゲームを行うようにしました。こちらがコート図になります。試合に出ていない子ども達がいるところには、「ケンステップ」という輪を置くようにしました。これは打つのを待っている児童が、ついつい試合や応援に夢中になって密な状態になることを防ぐため、待機する位置を示したものになります。この写真のように「ケンステップ」を置き、待つ位置を示しています。次に、守備のルールについてです。塁 ベースの代わりに置いたコーンの少し離れたところに、アウトベースとしてフラフープを置きます。そこに1人のプレーヤーが入り、打球をキャッチしたプレーヤーから送球をも らうことでアウトとなります。緊急事態宣言が出される前までの授業では、サークルに入る人数を2人に設定していましたが、1月からはさらに密集を避けるために1人のみに変更しました。このようなルールの工夫は、今回のコロナ対策版のティーボールの特徴としてあげることができます。低学年や中学年のゲームでは、「ボールをキャッチした人の後ろに一列で並ぶ」や「サークルに全員で集まる」などのアウトの仕方を聞くことがあります。 これらのやり方は、守備側の全員が動くという点ではとても良いのですが、今回はサーク ルに集まる人数を減らすことで密集を避けるようにすることを考えました。この写真は、 ボールを捕球した児童からの送球をキャッチしてアウトにしたときの様子を写したものです。塁ベースの代わりのコーンとアウトベース用のフラフープの距離が少し近くなっていますが、本来であれば、もう少し離してフラフープを置くようにします。 

 これらのルールはあくまでも初めのルールで、授業を進めていく中で子ども達が上手くいかなかったり、判断に困ったりした場合は、それぞれの学級でルールを追加していきました。実際、私の学級で追加された1つ目のルールとしては、ティー台を倒してしまったり、ティー台のゴムにバットが当たってしまったりする場面がありましたので、ティー台が倒れた場合はファールということで打ち直し、それ以外は転がったところで判断するというルールを追加することにしました。2つ目の追加ルールは、同時のときのジャッジに困ったことから、同時のときは辿り着いたコーンまでを得点とするというルールを追加しました。3つ目の追加ルールは、バットをコーンの中に入れ忘れてしまうことがありまし たので、アウトになる前までに入れれば1点というルールを追加しました。これらの追加 ルールは、基本的には「子ども達が意見を出して、子ども達が試合をより進めやすくなる ためにはどうすれば良いか」という視点で決めたルールでした。 

【授業の様子】 

 続いて、ご覧のような学習の流れで1時間ごとに授業を行っていきました。チーム練習については、単元前半は一斉にバッティング練習を行っていましたが、子ども達から、「守備の練習もしたい」という声が上がったことから、チームで自分達の課題を考え、その課題を解決するための練習をする「チーム練習」へと単元途中から変更することにしました。 この1月から、体育館での体育授業はバスケットボールを行っていますが、緊急事態宣言が出された現在の状況から、パスやシュートの練習しかできていません。しかし、校庭での体育授業では、現在もティーボールを行っていますが、密集に配慮しながらゲームを行うことが可能であるため、緊急事態宣言下でも実施することができています。このことからも、ティーボールをはじめとするベースボール型のゲームが、現在のコロナ禍の体育に適していると改めて実感しています。また、そのことはさらに、このティーボールがさらに普及していく良い機会になるのではないかと感じているところです。私自身もティーボールの普及に貢献できるよう、これからも実践を積み重ねていきたいと思っています。これで、「コロナ禍における小学校でのティーボール指導」についての発表を終わります。
ご清聴ありがとうございました。 

(頼住氏) 

 松岡先生、ありがとうございました。コロナ禍におけるティーボールの指導ということで、様々な工夫をされてティーボールを実践している、授業で活用しているということでした。参加者の皆様の中にも教員がたくさんいられると思いますけれども是非今の発表を元にしてティーボールを実践していただきたいと思います。


■職場からの報告 奈良 泰敬氏・藤本 喜代美氏 (社会福祉法人おひさま会) 
「コロナ禍の中で『講習会』や『大会』を開催して」

(頼住氏) 

 それでは地域からのご報告ということでお二人に登場していただきます。社会福祉法人おひさま会の奈良泰敬先生そして藤本喜代美先生に「コロナ禍の中で『講習会』や『大会』 を開催して」というテーマで、お二人からお話を伺いたいと思います。宜しくお願い致します。 

(藤本氏) 

 こんにちは。2020年11月7日に、南流山保育園と幼稚園において大会と講習会を開催さ せていただきました。私はほとんどサポートでありまして常務理事の奈良理事長、受付にはミアヘルサの足立監査役のご協力を得まして行いました。これからの流れと致しましては、「コロナ禍の中で『講習会』や『大会』を開催して」ということでお話します。 

 開催までの経過、事前準備、当日の流れ、事後、終わりにということで説明させていただきます。ただし、私はサポートでしたので、ほとんど理事長が行ったためすぐ理事長に代わります。その中でビデオ参加ということで、吉村理事長にもビデオを通じて皆様にご披露していただきました。そのため講義と致しましては理事長がそばにいるような感じでした。ビデオの中でしたけれども、本当にありがとうございました。とても良い1日で、私としては学びがありました。 

 引き続きまして、常務理事の奈良理事長の方から説明を宜しくお願い致します。 

(奈良氏) 

 理事長の奈良です。宜しくお願い致します。まず開催の経過ですけれども、基本方針としましては創意工夫して開催する方向という形で考えておりました。球場の使用許可、あるいは三密を避けることの難しさ等のいろいろな状況から、ご存じの通り大会自体は中止となりました。ただ青木杯はここ数年、介護職の初任者研修、および保健師の研修、保育士の研修、それらを業務に役立てるということで参加をしていただきました。会社の社長、副社長、各本部長の協力を得て理事長に相談しましたところ、ミアヘルサ、青木杯第九回健康福祉ふれあいティーボール兼、NPO法人日本ティーボール協会初級審判講習会として開催するということに至りました。 

【事前準備】 

 事前準備なのですけれども、講習会の会場は本園で行うことに致しました。実演会場は 近くに南流山中央公園の野球場があり、そこで行うことに致しました。参加者は30名以内ということで、大会資料、指導資料、配布資料につきましては吉村理事長からいろいろなシリーズを送付していただきました。そして、指導資料としましては講習テキスト、DVDで講習することにしました。大会の冊子を作成する基本方針としましては、コロナ禍のNPO法人日本ティーボール協会の活動、川崎のぼる先生のポスター、ホームページ、密のないティーボールという先生の資料、それらを折り込むことがまず1つです。2つ目として吉村理事長のレジュメのティーボール概論、それから本社のあるミアヘルサのJASDAQ上場記念の資料を入れました。いよいよ3月17日に上場しましたので入れることに致しま した。それからなかなか千葉県としての連盟の活動ができないものですから、今回は日本ティーボール協会と千葉県連盟の共催という形で行わせていただきました。 

【当日の流れ】 

 当日の流れとしましては、まず受付で徹底的に消毒、そして1人1人の検温、記録を行いました。その後、異業種の方にも保育園の見学をしてもらいました。その後TTA公認 指導者認定講習会ということで、まず藤本園長に開式の言葉をしていただき、次に主催者の挨拶を私がしました。来賓としましては、ミアヘルサの青木副社長、それから流山市の菅野市議会議員の2人にお願いしました。講師としましては、吉村理事長、それから私、そして午後の講師は久保田常務理事にお願いしました。まず初めに、その様子を写真で見ていただきたいと思います。これは例年、協会の方で発行してくださる資料を元にして、 昨年度の様子を表紙と致しました。 

 また、ティーボールの川崎のぼる先生の絵を裏表紙と致しました。そして、海部会長の挨拶、吉村理事長の挨拶、青木社長の挨拶を入れさせていただきました。また、ここはホームページの様子等が入っているページです。これは昨年度の大会の様子の写真です。これは専務理事にご協力いただいて、写真を入れました。これは来賓で、青木副社長、こちらの方は菅野市議会議員です。そして青木社長の挨拶です。それから飛び入りで本部長が来ていましたので、本部長にも挨拶をしていただくことにしました。 

講習会の内容】 

 それから講習に入ります。まず、ティーボール概論とミアヘルサということで、少し吉村理事長のレジュメを元に説明しながら、指導書の中にあるミアヘルサの関連等を話させていただきました。例えば、ミアヘルサ青木杯健康ふれあいティーボール大会のこと、記念撮影です。また、ティーボールとバリアフリーのところで青木杯の写真が88ページに載っていましたのでその話をしました。それから、福島の子ども達にボールを寄贈した話を致しました。そして176ページには大会の要項がありましたので、それらも含めまして密のない親子3代楽しめる国民ベースボールのような理事長のレジュメの1~9までを辿って紹介しました。これは聞いている様子です。ここに足立さんが見えています。このように、資料としてはティーボールとはということで吉村理事長の書いてある内容を入れました。これは紹介のところで、ここにはティーボールティーチャーが必須というようなことでありました。そのため、それらも最初に入れさせていただきました。この後、約75分のDVDの吉村理事長によるティーボール概論を45分、オフィシャルティーボールルール解説を34分というのを聞いてもらいました。そして、昼食を取りまして午後は実技として久保田常務理事によるティーボールティーチャー指導法実技、また、ティーボールティーチャーの審判法の実技を行いました。 

【ミアヘルサ青木杯第9回健康ふれあいティーボール】 

 その後、この流れでミアヘルサ青木杯第9回健康ふれあいティーボール大会を2回ほど2チームに分かれて行いました。その後、表彰式を行いました。少人数の2チームしかないのですけども、一応形としてやっぱり表彰式は必要だろうということで行いました。そして、その後記念撮影が必要ということで、これらは例年行っていることをそのまま踏襲しました。最後に、口頭試験ということで感想、意見それから決意等の発表をしてもらいました。久保田先生と園長、私が、試験官ということで感想を聞いて、了承を得ました。その後、レポートを書いていただきまして、後日提出というような形を取りました。 

【審判と導者の様子】 

 久保田先生の非常に好評だった審判の様子、指導者の様子を簡単に見てもらいたいと思います。私の幼稚園は本当にこういうお子さんも家族連れで来ますので、咄嗟に出てくるようなことがあります。これは、初めがしっかりしているため、これを「日本の文化的だ」 ということで感激していた社員もいました。そして、こちらの方で全員を集めて指導しているところです。これは、バッティング、守備です。これは、皆様に説明しているところです。このような女の子もいましたけれども、本当に先生のお人柄が出る一場面で、子どもにも対応していただきました。ここから、一応大会ということで行いました。写真を撮ると、どうしてもバッティングのところばかりになってしまい申し訳ありません。これが 表彰式です。副社長の方から渡していただきました。その後、記念撮影を行いました。初め固い表情だったのが少し砕けてきます。この最後を見てください。本当に1日の講習の様子が出ているような、そのような写真になっております。 

【参加者の声】 

 口頭試問、レポートから、「ティーボール概論を聞いて」というところにいくつかあったのですけれども、「野球によって日本が明るくなる未来を根底としており、シンプルで楽しみやすいティーボールが必要であることが理解でき、とても深く歴史を学べた。」ということがありました。それから「いつでもどこでも誰でも笑顔で楽しめるスポーツであり、健康づくり、仲間づくりのきっかけになる。」「歴史や弊社との繋がりを知り、良い学びをできた。」等、吉村理事長はすごい熱意があり、歴史まで日本文化と照らし合わせているとこ ろもありました。実技では、「ティーボールティーチャーの所作にこだわるところが日本の文化を感じることができ、ゲームの中にも熱い想いがあることに感動し、楽しく学べた。」 そして、「ティーボールティーチャーは審判であり先生であるため、しっかりジャッジすること、先生として指導するといった役割を担うための経験が必要と思った」というものがありました。今後仕事にどのように生かそうとしているのかというところでは、「ティー ボールティーチャーの役割は介護職員にも求められている役割なのかもしれないと感じました。貴重な経験をありがとうございました。」「できないに合わせても良いスポーツがあることが嬉しかった。今後も個別性の視点を忘れずたくさんの方と関わっていきたい。」とか、「保育の中でティーボールに触れる機会をたくさん設け楽しく取り組めるようにしていきたい。1日ご指導ありがとうございました。」「保育でも腕の力や上半身の動きを取り入れたものを導入してみたい。」等がありました。まとめとしましては、「保育ばかりでなく介護の現場でも業務に応用でき役立つことがはっきりしました。」「多くの人達の協力によって開催できたことが、講習会の概論、実技、試合が介護初任者研修として有意義だったと思います。」がありました。ご清聴ありがとうございました。 

(頼住氏) 

 ありがとうございました。コロナ禍という大変なご苦労の中、講習会や大会を開催していただきました。本当にありがとうございました。 

今、お二人の社会福祉法人おひさま会という立場でお話をしていただきました。 


■地域からの報告 平松 聡氏 (愛知県連盟専務理事)

(頼住氏) 

 実は職場というよりも地域で昨年大会を開催していただいた連盟がいくつかございまし た。突然ですけれども今日は代表としまして、愛知県連盟の専務理事、平松様に要点や大会の様子だけお話しいただければありがたいと思います。 

(平松氏) 

 こんにちは。お世話になります。愛知県連盟の平松と申します。今お話をということで、 簡単に説明させていただきたいと思います。 

【愛知県大会の開催にあたって】 

 愛知県連盟としましては、昨年12月19日に第16回の愛知県大会を開催することができました。本日現在まで、感染等の報告は受けておりません。例年は、11月に大会を開催していますけれども、コロナ禍で昨年度におきましては大会開催をギリギリまで悩んでおりました。役員との話し合いの中で前日中止の判断有りということで、どのようにしたら開催できるかということで協議をスタートしました。具体案としては、参加チーム数、準備、 大会のスケジュール、用具、感染対策、グラウンドの動線等、話し合いをして協議をしました。結果、当連盟のホームページ等にもアップロードしたようにガイドラインを作成させていただきました。開催は私達連盟だけでは無く、参加されるチームの方々にもご理解いただいて、協力して開催したいというお願いをさせていただきました。例年は36チーム程の参加チームを、20チームと限定しながら開催をすることにしました。 

【大会当日の様子と結果】 

 当日は、子ども達に「マスクの着用を義務付け」というお願いはできなかったですけれども、「推奨」というお願いをしながら、大会開催を行いました。実際は、8割ほどの子ども達がマスクを着用して、グラウンドで活躍をしてくれておりました。大会に関しましては、バット、ビブス等、参加チームにお願いをしたり、用具の共有を減らしたりする準備を行なって大会を行うことができました。結果的に今のところ感染者の報告は無いというところと、当日の子ども達の活躍風景を見て、私達は今年に入ってもコロナ禍でありながらも、なんとか子ども達の活躍できる場を作るのが私達の使命だという思いを元に、今年も継続的に活躍の場、大会、講習会等を広げていきたいと思っています。少しではありますけれども、当連盟の大会の方法ということでホームページ等にもいろいろな資料をアップロードしております。皆様方もご参考にしていただいて、共有したいと思っております。 ホームページ、Twitter等で当日の記録等もアップロードしておりますので、ご参考にしていただければと思います。引き続き愛知県としても、ティーボールの普及に尽力していき たいと思いますので、皆様方と情報共有をしながら広げていきたいと思います。以上です。 

(頼住氏) 

 どうもありがとうございました。愛知県でも素晴らしい大会を実施できたということをお聞きまして、「今年も全国で広まってほしい」と感じております。 


■閉会の挨拶 吉村 正氏 (日本ティーボール協会理事長)

 それでは最後に閉会の挨拶ということで吉村理事長から皆様にご挨拶を差し上げたいと 思います。 

(吉村氏) 

 皆様どうもありがとうございました。最後は学校、職場、地域という、それぞれの特徴のある講習会、大会のご報告等、誠にありがとうございました。4時間少しの時間を通し て、セミナーを終わることになりますけれども、今日の出席の皆様方の大変なご協力、お力によって「まずまずの成果を挙げられた」という風に思います。参加された先生方、皆様方に心から御礼申し上げたいと思います。そして、最後の最後にこれからどうするのかを述べさせいただいて、閉会の言葉に代えようと思います。学生諸君が、40名ほど受講してくださっていますけれども、その人達が1日半をかけて全部文字起こしを致します。月曜日の正午までに学生の女子責任者、男子責任者に全部集約して文言の統一等をしていただきます。火曜日か水曜日に私の事務局の方に回していただいて、私も4、5回通読して推敲をしていきたいと考えています。その後2、3週間くらいで、このセミナーを全部活字にして、1冊の冊子にまとめようと思っています。まとめたものを今月末か2月の初めくらいまでには、今日お集まりの皆様方には無償でお送りさせていただこうと思っています。加えて、理事、評議員の方々へお送りするという手順にしたいと思っています。そして、それが一段落しました2月の終わりくらいには、この日本ティーボール協会のホームページに全部アップをして、「誰でもこのコロナ禍の時代に役立つティーボールの普及方法等を理解してもらいたい」と思っています。コロナ禍も我々としては今年の前半くらいで 収束してもらいたいと思っています。そのため、今日の貴重なセミナーの題材においては、より早く日本の多くの方々にお伝えするのが我々の使命かなと思っていますので、ご理解のほどお願いしたいと思っています。以上申し上げたことを皆様方の前でお約束して、こ の日本ティーボールセミナー、今年のセミナーを終わりにさせていただきたいと思います。 どうも長時間ありがとうございました。
 終わりにさせていただきます。失礼します。 

(頼住氏) 

 それでは、今理事長からご挨拶がありました通りここで閉会致します。本当に皆様ありがとうございました。 

➡ 資料(PDF)