10月10日 ③内野手は5人。⑦バッティングティーを置く。⑧ボールを大きくする。の3提案。これらは現在の「日本式ティーボール」の原型です。

 (中)では、③11人制のソフトボールを提案する。⑦バッティングティーを置く。⑧ボールを大きくする。の3点を強調しました。

③―4では、内野手は5名であり、一塁手、二塁手、三塁手は各塁ベースの近くで守備し、他の2人は、第一遊撃手、第二遊撃手と呼称し、第一遊撃手は一、二塁間、第二遊撃手は二、三塁間で守備しなければならない。としました。これは、その1年後に作成した「日本ティーボール協会」のルールに反映させています。現在でもこのルールを変更していません。

⑦では、バッティングティーを投手の代わりに置く。ティーボールそのものです。

⑧では、ボールを大きくする。これは、現在でも、アメリカがボールの周囲が9インチのボールを使用していますが、日本式ティーボールは、9インチより大きい、11インチと12インチが主流です。

では、ここから昨日の続き(下)をお示しします。

⑩ラケットソフトボール

【ねらい】

  1.  小学生では、より太いバットでも、より短いバットでも、投球を打つことができない児童がいる。
  2.  それらの児童のために、バットの代わりに、テニス用のラケットを用いて、ソフトボールを行う。
  3.  使用球は、ソフティボールである。

【行い方】

  1.  投手はピッチャースボックスから、山なりのボールを投球する。
  2.  打者は、ラケットのグリップを両手で握り、投手の投球を打つ。
  3.  内・外野手は打球を処理。
  4.  第3アウトで攻守は交代する。

⑪ハンドソフトボール(体育館でも可)

【ねらい】

投手がストライクゾーンに投げられない、打者がそれを打てない、といった悩みに対して、それらを解消できるソフトボール、それがハンド・ソフトボールである。

【行い方】

  1.  打者は手でボールを持ち、一度それをホームプレートに落とす。そのワンバウンドしたボールを、打者のハンド(手)で力強く打つ。
  2.  内・外野手は、そのボールを両手で処理する(内・外野手はグラブを着用しない)。
  3.  第3アウト(第5アウトも可)で攻守は交代する。
  4.  体育館でもプレーすることができる。

【施設】

塁間は7、8㍍とする。

⑫キック・ソフトボール(体育館でも可)

【ねらい】

  1.  ソフトボールを体育館でも行えるようにする。(雨天時のソフトボール)
  2.  そのため、塁間を狭くし、室内用ルールを制定する。

【行い方】

  1.  捕手がホームプレートの上に16インチのソフティボールを置く。
  2.  打者は、それを内・外野手方向へキックする。
  3.  内・外野手は、その打球を処理する。
  4.  第3アウト(第5アウトも可)で攻守は交代する。

【施設】

塁間は7、8㍍とする。

[走者のルールに柔軟性を]

⑬フォース・ソフトボール

【ねらい】

  1.  日本ソフトボール協会の小学生ルールで、投手がストライクを投げることができ、打者がそのボールを内野方向へ打てたとしても、内野手がそのゴロを捕り、一塁へ投げようとしている間に打者走者は一塁でセーフになってしまう。
  2.  そこで考えたのが、フォースソフトボールである。これは3つのケースが考えられる。1つは、常に満塁の状態でゲームをすること、2つは、無死一塁二塁からゲームをスタートさせること、3つに、無死一塁からゲームをスタートさせることである。
  3.  常に満塁の状態でゲームを行うとお互いにチームの得点は多く入るが、内野手のプレーは容易となる。この場合、一死満塁で、打者が二塁打を打って2点が入ったとしても、次の打者のときは、予備の走者が一塁を埋め、再び一死満塁からプレーするというものである。
  4.  無死一塁二塁、あるいは無死一塁からスタートさせるゲームは、常に一塁二塁、あるいは一塁を埋めてプレーする場合と、回の最初のときだけ、走者を一塁二塁、あるいは一塁に埋める場合とがある。前者は試合の進行は早くなり、ほとんど走者をフォースの状態でアウトにすることができるが、後者の場合は、日本ソフトボール協会のルールに近いスタイルでゲームすることができる。

【行い方】

  1.  走者満塁の場合、先頭打者の前の打者から一塁、二塁、三塁のベース上で走者となる。
  2.  先頭打者は、投手の投球を打つ。一塁でアウトになっても、そのまま塁上に残り、走者となる。
  3.  内・外野手は、3人の走者をフォースの状態でアウトにできるので守備が容易になる。
  4.  第3アウトをとると、攻守は交代する。

【施設】

  1.  ピッチャースボックスを描く(トスやティ台でも可)
  2.  塁間は16㍍である。

⑭二塁へ走るゲーム

【ねらい】

  1.  打者走者に長い距離を走らすことによって、内・外野手の守備に余裕をもたせる。
  2.  二塁ベースは、競技場の中央にあり、どの野手からも同じような距離から送球できる。

【行い方】

  1.  投手が山なりのボールをピッチャースボックスから投球する。(トスやティ台でも可)
  2.  打者はそれを力強く打ち返す。
  3.  打者が投球を打ったあとは、打者走者となり、二塁ベースに向かって走る。
  4.  内・外野手は、打者走者を二塁でアウトにするために、打球を処理する。
  5.  打者走者と走者は、一塁・二塁・三塁・本塁の順で走らなければならない。
  6.  第3アウトになると、攻守は交代する。

【施設・用具】

  1.  ピッチャースボックスを描く。(トスやティ台でも可)
  2.  塁間は16㍍である。
  3.  バットとボールは、指導者が決定する。

[簡易ソフトボール]

⑮6人対6人のハーフ・ソフトボール

【ねらい】

女子だけで行うゲームでは、投手力、打撃力、守備力、走力を比較した場合、前述したように、走力のみが勝り、得点が入り過ぎて試合が成立しないことがある。

そこで、ここでは、打者走者と走者のプレーを省略したゲームを考えた。

【行い方】

  1.  6人が、投手、捕手、内野手2人(二塁手と遊撃手)、外野手2人に分かれる。
  2.  投手が打者に対して、山なりの打ちやすいボールを投げる。(トスやティ台使用でも可)
  3.  打者は、それをセンター方向へ力強く打ち返す。そして、そのあと走らない。
  4.  内・外野手は、ホームプレートに触れている捕手に正しく返球(技術レベルに合わせて、ワンバウンドまでとか届きさえすればよいといったルールを学校ごとで決める)するとアウトする。
  5.  打者がセーフとなるときは、野手の返球を、捕手がホームプレートに触れて捕球できなかったときと、決められたバウンド内で捕手がホームプレートに触れて捕球できなかったときとである。

⑯3人で楽しむハーフ・ソフトボール

【ねらい】

  1.  3人でも試合の感覚でソフトボールを楽しむことができる。
  2.  3人で競争して、打ち、捕り、投げることができるため、技術の向上も早くなる。

【行い方】

  1.  投手は、山なりのボールを投げる。(トスも可)
  2.  打者は、そのボールをフェア地域に力強く引っ張る。
  3.  左翼手は、打球をノーバウンドで捕れば打者アウト。ゴロで捕ると、その捕った位置から、ホームプレート上にカバーに入った投手へ、正しく返球する。
  4.  3回アウトで、打者が左翼手、左翼手が投手、投手が打者に入る。

【参照】

吉村正(1992)<小学生の指導者必読>「小学生にどう教えるか!!-セット・トス・ミニピッチ・ソフトボール-」、ソフトボールマガジン第16巻第6号、38-42頁  発行年月日1992年1月号

皆さん、<小学生にソフトボールをどう教えるか>の3回シリーズ、小学校の先生方に対して、お役に立ったでしょうか。この32年前に書いた私の原稿が、現在でも皆様方のために参考になれば望外の喜びです。

以上のように指導法を提案した後、もっと分かりやすく具体的に教えてくれという読者からのお願いが多く、このシリーズの連載第5回に再び私が執筆しました。それが現在の「日本式ティーボール」の原型に近いベースボール型球技、「セット・トス・ミニピッチ・ソフトボール」です。

次回からはそれらを2回に分けて紹介します。 乞うご期待!