5月13日 東村山の予選会後は、投手と捕手の指導。クリケット型に加え野球型の投法を身に着けると投球の幅を広げることが出来るのです。

 昨日の東村山市民体育大会春季ティーボール大会に学生3人と長谷川評議員、計5人で参加しました。大会終了後は、学生3人(投手2人と捕手1人)のバッテリー指導を行いました。場所は、運動公園の近くのグラウンド。少年野球の練習場で実施しました。今回の練習は、投手の投球がただ速いだけでは、強打者には通用しない。如何に緩急をつけるか、高低の変化、左右の変化、更には、複合的な変化球を投げるためにはどのようにするか、そして投手と捕手の駆け引きや信頼感をどのようにして引き出すか等が、練習のテーマでした。

 それは、今から2週間前の東京都のリーグ戦で、インカレ優勝候補の一つである某大学に、屈辱的な負け方をしたのでした。クリケット型投法においての速球勝負が、全てに裏目に出たのでした。加えて、投手と捕手のコンビネーションの特別練習も行わなかったことが、投手が自滅した原因でした。今年の夏のインカレでは、この投手と捕手との関係をスムーズにして、ライバルの強豪大学を完封しなければならないのです。

 「ウインドミル投法にはクリケット型と野球型がある」と、私は多くのソフトボール関連の書籍に書いています。クリケット型とは、肘を曲げないで腕を大きく回旋させる動きです。この場合、多くの変化球を投げることは難しくなります。なぜなら肘を自由に使えないからです。そのため、速球とチェンジアップが中心となります。I投手は、このクリケット型投法を用いて投げる日本でも屈指の名投手です。速球は大学ナンバーワンでしょう。高校時代に素晴らしい指導者に出会い、この投法を見事に習得されたのでした。

 一方、野球型は、クリケット型と違い、投球する腕の肘を曲げ、尺側筋を大腿筋に接触させるのです。そうすると、手首や、肘が自由自在に使用できるようになり、様々な変化球が投げやすくなるのです。この理論を実践してみること、これが昨日の練習の意図でした。I投手はこの理論を謙虚に受け入れ、一生懸命トライしました。習得は早いのですが、何分速球が速すぎ、変化する前に捕手のミットに吸い込まれていくのです。どこでその速球にブレーキをかけ、投球に変化をつけるかが、彼と私の勝負でした。

野球でいうセットした状態から投球すると、腰がしっかり入ります。その時、投球する腕を比較的横振りすると、スライダー系の速球が投げられます。手首を下から上に捻り上げるとライザーになり、反対に捻り落とすとドロップ系になります。ドロップ系の投球フォームで、手のひらでボールをカットすると、見事なチェンジアップが投げられます。このようなことを教え、実際の投球でそのボールが投げられるかをトライする。

 昨日のスポーツ新聞と朝日新聞には面白い記事がありました。スポーツ新聞では、投手が主役。それは、「西武ライオンズの新人武内投手が開幕3連勝、西武の新人が先発で3連勝を飾るのは球団43年振り、松坂越え」と報じています。事実、7回7安打1失点はお見事。武内投手は股関節が硬いそうです。それを逆手に取り自分を活かしての投球をしたとのことでした。

朝日新聞の見出しは炭谷捕手。「炭谷にかかれば全部が決め球」このコラムを書いたのは平田記者。タイトルは「セーフ アウト」、そこには「武内は2種類のツーシーム、カーブ、チェンジアップ、スライダー、フォーク、カットボール。多彩な変化球を操る一方、どれも必ず空振りを奪えるほどの自信がなかった。『オープン戦ですでに(問題は)起きていた』とルーキーの心の内を見抜いたのが捕手の炭谷だ。(略)武内が投げる試合は、開幕から全試合マスクをかぶる。(後略)」。捕手の重要性をしっかり書ききっています。

 この記事をI投手と捕手に見せて、再びバッテリーの指導です。決して投手だけではない、捕手が育ってくれないと立派な投手を育てることは出来ないのです。上記の炭谷捕手と武内投手との関係がそれをよく示しています。

以上に説明したように、クリケット型を用いてのウインドミル投法では、速球勝負になりがちで捕手が活躍する場合は比較的少ないです。その場合一つ間違えるとノックアウトされる確率は高まります。ところが、野球型の投法だと、様々な変化球が投げられ、そこで、頭脳明晰な捕手に出会えば、ピッチングの幅が広がります、このことを再び説明。

投手も捕手も納得です。

 このI投手、この一週間で見違えるほど成長しました。クリケット型に野球型投法を加えることによって、投げられたボールは、信じられない程ムーブし(動き)始めたのです。

このバッテリー、今後の活躍がとても楽しみです!

 東村山のティーボール大会も観ていて楽しかったですが、このバッテリー指導も最高で、楽しい週末でした。