5月23日 全国の投手を目指す皆さん!和田毅投手(ソフトバンク)や大竹投手(阪神)からの学びは多いです。

 昨日のNHKBSにおいて、18時からはソフトバンク対楽天の試合(京セラドーム)が放映されました。この試合の解説者は、武田一浩氏(明治OB)と小早川毅彦氏(法政OB)。ソフトバンクの先発は和田毅投手(早稲田OB)。私は19時30分から、この試合をテレビで観戦しました。武田氏、小早川氏の特徴ある解説、と同時に43歳和田投手の見事なピッチングが印象的でした。

試合は初回に山川選手の3点本塁打や、栗原選手の二塁打などでソフトバンクが5点を先制。続く2回も、再び山川選手の2点本塁打等で4点。山川選手が本塁打を打つたびに、ベンチでニコニコする和田選手の顔がアップで映し出されます。その和田選手は、7回まで楽天の選手を二塁まで行かせない見事なピッチング。それを解説する武田氏と小早川氏のコメント合戦が面白かったです。

武田氏は元投手故か、7回終了時100球を少し超えた和田投手に対して、得点差もあるので9回まで投げさせれば…という考え、一方、小早川氏は元野手なので和田投手の今後のこともあるので、酷使しないでこの回でもってお役御免で良いのでは…という考え。

私はどちらの考えも納得します。結果は、7回終了時ベンチに戻った和田投手に小久保監督(青山学院大OB)が歩み寄り、お互い握手。これで決まりです。小久保監督が多分和田投手に、「ナイスピッチング、サンキュウ」とねぎらいの言葉を掛けられたのでしょう。和田投手もニッコリ。私もニッコリ。

山川選手が2本の本塁打を打ち5打点の活躍。一方、和田投手も7回3安打完封、お互いが笑顔でした。私はふと1月初めに沸き起こった「山川人的補償和田」を思い出しました。「和田選手が所沢に来るのか?嬉しいな…、でも本当にそれでいいの」と書いたことを思い出しました。今は、本当にラグビーでいう「ノーサイド」、二人の笑顔を見ているとそんな気がしました。

さて、その和田投手を慕っていた元ソフトバンクの阪神大竹投手が、昨日見事な投球を広島相手に見せました。今日の朝日新聞のスポーツ面、山口記者の「セーフ・アウト」が面白い。ここに引用します。

見出しは、「遊び心と哲学 大竹の94球」。記事は、「木刀を携えて球場入りし、外野の芝生でやり型の器具やゴムひもを使って体を動かす。ようやくボールを握ったかと思えば、硬球より大きなソフトボールを投げていた。阪神の左腕、大竹の調整法は一風変わっている。『いいなと思ったことは遊び感覚でいろいろ試しています。』プライベートでも生け花をしたり、ろくろを回したり。そんな遊び心が、この28歳の投球の原点だ。」(中略)「大竹にはこんな持論がある。『100球投げるなら、全て違う投げ方で抑えたい』。一般的に、投手は同じ腕の振りで狙ったコースに投げる。その再現性を高めるために練習を積むものだ。」

だが、この左腕は首を横に振る。『打者は同じタイミングで同じ球が来れば、空振りをした球を待っていれば、次は打てるのでは、となると思うのです』7回無失点。(略)変幻自在の94球。自分らしさを詰め込んだ。」

ナイスな記事です。この大竹投手は、熊本県立済々黌高校野球部出身、そこでの指導者の一人が末次義久日本ティーボール協会副会長。高校時代から良き指導者に出会われました。大学は早稲田、和田投手と同じです。同じ左腕、頭脳的なピッチングをする。共通するところがあります。私は昨日の大竹投手の投球をニュースで見ました。山なりの超スローボールを投げていました。とても印象的でした。50年近く前、国鉄スワローズの金田正一400勝投手が、巨人軍の最強打者長嶋茂雄選手に超スローボールを投げていたのを思い出しました。金田投手は国鉄時代では正に剛腕でしたが、巨人にトレードされた晩年は頭脳的なピッチングもなされていたのです。そうです!金田投手も左腕でした。

ここで皆さん、今月20日に書いた「ダルビッシュ有投手、今永昇太投手、いずれが『サイヤング賞』を受賞するか、興味津々です。」を思い出してください。

再び紹介します2004年11月に出版した「変化球バイブル」(吉村正著)(ベースボールマガジン社)の97ページ。「投手が打者に打たれないボールを投げるために創意工夫しよう」、「1つの握りから25種類の変化球が投げられるか、トライしよう!」(下図参照)

この図にあるように、投手のボールの握りは1種類ではありません。ツーシーム、フォーシーム、その他シーム(縫い目)に沿って握る、縫い目に斜めに握る、いくらでも遊びで握りを変えることが出来ます。指を曲げて投げることも同様です。いわゆる、ナックルの握りです。人差し指のみを曲げて投げる、人差し指と中指の2本を曲げて投げる、人差し指と中指と薬指の3本を曲げて投げる。その他、人差し指と中指の間から投げる(野球ではフォークボール、スプリットフィンガーボールと呼ばれている)。このように握りを変えることで、変化球を投げようとすると、何10種類どころか、何100種類もトライできるのです。

彼らはこの本を参考にされたかどうかは定かではありませんが、とに角、打者に打たれないボールを考え投球しているのが、この和田投手や大竹投手なのです。

今後の彼らの投球が益々楽しみになりますねえ・・・。