7月26日 今年の高校野球地方大会で最も印象に残った三人の名物監督。大越基先生、長沢宏行先生、久保田浩司先生。「ジス イズ 甲子園 2」

 今年の夏の甲子園の予選大会で、私が注目した監督さんは三人。一人は、山口県早鞆高校野球部監督で、保健体育教師の大越基先生、二人目は、兵庫県篠山産業高校の長沢宏行監督、三人目は、東京都青鳥特別支援学校監督の久保田浩司先生です。

三人の監督はいずれも、野球だけでなく、ティーボールやソフトボールといったベースボール型球技に対して、広く、そして深い知識を持った先生でもあります。

 大越先生は、高校時代は宮城県仙台育英高校の大エース、3年時には春夏連続で甲子園に出場、春の選抜はベスト8、夏は準優勝、そして卒業後は早稲田大学人間科学部スポーツ科学科に進学。先生が1年生の時、私の「ソフトボール」の授業を履修してくれました。当時私は、「いつでも、どこでも、だれでも、楽しめるソフトボールの研究と実践」を研究テーマの一つとして、「日本式ティーボール」を創作する試みを数多く行っていた時でした。先生はその折、実技生(モデル)として協力してくれました。素晴らしい学生でした。

 2003年にソフトバンクホークスを引退後、山口県の大学で教員免許状を取得。そして2007年からは、上記の早鞆高校に保健体育科の教員として着任され、野球部監督として高校球児たちを指導されてきたのです。その指導ぶりは見事であり、他県からも大越監督を慕って野球留学に来る生徒が多かったと聞いています。実際に、私の大学時代の同級生でかつプロ野球で活躍した友人の孫は、大阪府からわざわざ彼を慕って、早鞆へ進学しと聞いています。

 今年の夏で引退されることを7月8日の新聞で知りました。今後は野球部の副部長としてかかわるそうですが、これからも多方面で活躍されることを期待しております。

 次は、長沢宏行先生。兵庫県夙川高校で保健体育科の先生を務めながら、女子ソフトボールの監督で確か全国大会11回出場中9回全国制覇されたと思います。先生とは、私がベースボールマガジン社発行の「ソフトボールマガジン」(アトランタオリンピックに向けて吉村正の目)で、対談をしたことがありました。ソフトボールに対する情熱は人一倍のものがあり、当時の高校女子ソフトボール界の常識を改革する情熱と迫力をお持ちでした。そのアトランタオリンピックでは、女子チームのコーチも若くして務められました。

 その後も、凄いのです。2003年になると鹿児島県の神村学園野球部の監督に就任、第77回選抜大会では、ソフトボールで多用するバスター(バッティング)を野球でも多用し、初出場ながら準優勝を修められたのでした。その後、岡山県の環太平洋大学の監督を経て、2010年から系列校の創志学園高校の野球部監督として活躍されたことは周知の事実です。

 三人目は久保田浩司先生(日本協会常務理事)、長沢先生は日体大のソフトボール部OBですが、久保田先生は野球部のOB。久保田先生と私の出会いは、元日体大教授の小川先生による紹介でした。もうかれこれ30年近く前になりますか。久保田先生の日本協会での活躍は皆さん周知のことと思います。

ここでは、その先生が指導されている東京都青鳥特別支援学校野球部の活動を紹介します。

この夏、先生が指導する支援学校の試合を観るために、スリーボンドスタジアム八王子に行ってきました。対戦相手は、協会事務所近くの東村山西高校。

7月7日(日)14時試合開始、私は開始時間に遅れまいと、13時30分に球場入り。先の試合が延びていて、約1時間遅れで試合開始。当日は猛烈に暑かった。17時30分の段階で、3回0対38。私は先発選手の打席を9人見終えた時点で、球場を後にしました。結果は5回0対66でコールド負け。様々考えさせられた試合でした。

先日の20日、久保田先生に審判講習会でお会いしました。その時に私が先生に掛けた言葉は、「あの試合の3か月前に先生の学校に行き、選手の皆さんの技能レベルを見たかったですね。その間に、先生の指導で、彼らがどれほど成長したか、それを見たかった」と。そしたら久保田先生も「にっこり」。これが、久保田先生と私の信頼し合ったもの同士の会話でした。

久保田先生は、今、「文部科学大臣杯争奪第27回全国小学生(3・4年生)ティーボール選手権大会」に向けて、日本協会常務理事兼審判長として奮闘中です。切り替えも早いです。

これらも今年の夏の甲子園。「ジス イズ 甲子園 2」でした。