第29回日本ティーボールセミナー

2022年1月15日(土)開催
ー2年目に入ったコロナ下でのティーボールー

開催要項

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第29回日本ティーボールセミナー
2年目に入ったコロナで下でのティーボール

■頼住道夫専務理事 

(元厚木市東名中学校校長) 

「コロナ禍における事務局運営の難しさ、その中で全国大会を開催して」

(一之瀬氏) 

 ここから、事務局長報告に移ります。「コロナ禍における事務局運営の難しさ、その中で全国大会を開催して」と題して頼住道夫専務理事よりご報告いただきます。よろしくお願いいたします。

(頼住氏) 

 皆さん、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。それでは私から、事務局長報告ということで、「コロナ禍における事務局運営の難しさ、その中で全国大会を開催して」と題して報告をさせていただきます。

 まず、私の報告の柱三本ございます。一つ目が、「コロナ禍での事務局運営について」。二つ目が、「コロナ禍における第24回全国小学生ティーボール選手権大会を開催して」。三つ目が、「コンプライアンス遵守」ということで、三本の柱を立てました。

【コロナ禍での事務局運営について】 

 まず最初に、コロナ禍での事務局運営ということでありますが、本協会事務局は一昨年8月末に高田馬場から東村山市に移転しました。早、1年5ヶ月を経過しました。その中で、今どんな事務局を運営しているかということでありますが、まず勤務につきまして、毎日出勤している役員は、吉村理事長1人であります。そして週2回で小西事務局員、週1回が私頼住、そしてテレワークで手賀事務局員、その他早稲田大学のソフトボール部学生委員が週1、2回事務局に来て仕事の手伝いをしてくれております。去年の総会でもお話しましたが、毎日朝から晩まで出勤している理事長を学校で例えるならば、用務員さんから校長先生の役目を担っている、仕事をしているということで、入り口の施錠解除、それから部屋の掃除、トイレの掃除、そして換気、電話、来客の対応、宅配便での対応、後PCメールの確認、返信、そして最後に理事長からのメッセージを執筆しているということで、本当に多岐に渡って仕事をされております。

 その中で、事務局の会議を週1回実施しております。勤務体制がバラバラであり、一度に会する勤務でないので、情報共有、そして事務局運営のためにオンラインで会議を開催しております。毎週月曜日が中心となって実施しておりますが、参加者については理事長、私、小西、手賀事務局員、そして学生委員3名程度ということで、毎週週1回は必ず実施しております。内容としましては、所謂、「ほう・れん・そう」です。報告、連絡、相談、そして最後に大事な確認事項。「ほう・れん・そう」と確認ということでこの内容を会議で実施しております。例えば、その週または前の週の出来事であるとか、今週はどういう計画を立てているのか、どういうことを実施するのか、それから月の事業、行事の確認、また年間事業で必要なことがあればそこで確認をしております。そのほか会計、確認、そして実行、地方連盟との連絡や状況把握、そして会計事務所との連絡、確認、スポーツ庁、文科省、国との連携、東京都、市町村への書類の申請、報告等を行い、そしてティーボール指導のための役員の派遣についても話し合いの席になっております。そのほか他団体、例えば日本レクリエーション協会への対応等がございます。様々な内容の事務局会議を実施しております。

 その中で、このコロナ禍において事務局運営として一番力を入れていること、これは二つありまして、一つ目は、「ホームページの充実」ということで、すでにホームページをご覧になっている方々はたくさんおられると思いますが、広報活動の活発化を、今、実践しております。現在、月5,000件のアクセス数があります。これから今後は7,000件、10,000件と増やして、それを目標にホームページを充実させたいと思います。できれば今年は 100,000件を目指したいと考えております。二つ目は「出版事業」ということで、もうすでに昨年、公認ティーボール規則、ルール解説教本を6月に出版いたしました。皆さんの中にも中身をご覧になっている方はたくさんおられると思いますし、その後も秋には理事長からのメッセージ(上巻)を出版して協会の事業を展開しているところであります。こういったコロナ禍において、事務局運営として非常に勤務体制が厳しい中でもなんとかやりくりしながら理事長を中心に運営をしているところでございます。日ごろから皆様にもご協力を頂きながら、この事務局が運営出来ているということで心からお礼を申し上げたいと思います。

第24回小学生ティーボール選手権大会の開催】 

 次に二つ目の柱ですが、「第24回小学生ティーボール選手権大会の開催」ということで、昨年12月、コロナ禍ではありましたが、実施することができました。本当に関係の役員の皆様にはお世話になりました。ここで1日の流れを写真でまとめたので、それを見ていただきたいと思います。まずはメットライフドームのメインゲートの写真です。一昨年の大会には無かった、新しくできたゲートです。入口では2箇所で検温、消毒をしています。選手も保護者もこのゲートを通って8時半には入場を終えました。9時からは開会式が行われました。入場行進の写真がありますが、先頭には学生が写っています。各チームに1人ずつ付いて指導してくれました。このことについては後ほど申し上げます。行進の後は理事長挨拶、優勝カップの返還、選手宣誓が行われました。選手宣誓は今年初めて出場した箕作スポーツ少年団の主将が堂々と行ってくれました。その次は開会式全体を写した写真です。このような形で試合が始まり、最後は閉会式の写真です。ここには優勝、準優勝、そして3位の2チームの写真を写しました。ここまで大会の1日の流れを見ていただきましたが、こういった大会を実施するにあたりまして、まず新型コロナウイルスの感染症予防対策を課題に挙げておりました。安心安全な大会を開催することをとにかく一番に考えました。すでに地方大会が終わっているところ、例えば愛知県や富山県、山梨県などの大会を参考にしながら感染症防止に関するガイドラインを策定しました。さらに1,300人からの健康チェックシートを提出していただきました。そして実際にリハーサル大会を行って本番に備えました。私の所属する神奈川県大会では本番の1ヶ月前の11月13日と、11月20日の2回に分けてリハーサル大会を行いました。そこでは保護者の応援を含めて密にならない工夫を行い、全国大会に備えました。特に11月20日、この大会を行った相模原市営球場では健康チェックシートの提出、検温消毒の実施を行いまして、参加20チームに加えて保護者も合わせると約700人になり、受付に約60分かかりました。保護者、応援者はスタンドからの応援に徹していただきグラウンドの中に入れないことで密を避けました。

 このようなデータをもとに、全国大会では健康チェックシート提出に時間が非常にかかるということが分かりましたので、審判員の方20名に来ていただいて、メインゲート前で、健康チェックシートを受け取る。そしてメインゲートの前には、6か所の検温、消毒場所を設けて、1か所2名体制、32チーム500名、そして保護者や応援者については約1,200名ですが、7時30分から8時30分の間で入場を行うという計画を立てまして、実際に、8時20分には入場が完了しました。このように、非常にコロナの感染対策には力を入れたわけではありますが、そのほか、特筆すべきということで、毎回早稲田の学生諸君には助けられております。今回は参加32チームに対しまして、早稲田の学生、ソフトボール部員が参加1チームについて1人ずつ配置して、担当を決めて活躍してもらいました。選手たちがドームに入場してから帰るまで、選手たちの指導、誘導、感染対策、これらを行って大会成功の立役者のなったと私は確信しております。あるチームの指導についた学生、この学生は素晴らしかったです。そのチームの試合を、全力で応援していました。保護者と一体となって。この子どもたち、選手たちと交流を深め、子どもたちにはかけがえのない一生の思い出になったと私はそばで見ていて感じました。そのほか、保護者の応援の方々には指定の外野スタンドで応援をしていただきました。今までとは違う応援の仕方でありましたが、コロナ禍における最善の方法であったと私は確信しております。また、この大会に備えて、対面による審判の講習会、開会式のリハーサル、実行委員会を実施しました。コロナ禍のために、第1回の実行委員会はオンラインで開催しましたが、2回目は大会の8日前、たくさんの役員の出席を得て、開催し、改めて対面による会議の重要性を確認した次第であります。この四角の中には研修会、それからリハーサル、実行委員会ということで日にちと時刻を記入しております。

【コンプライアンス遵守】 

 最後になりますが、「コンプライアンス遵守」ということで、本日、特別に皆さんにお話をさせていただきます。このコンプライアンス遵守につきましては、今日的課題と考えて、コンプライアンス遵守の組織の在り方が今強く求められております。この委員会の設立については、昨年6月19日の総会で承認されております。その内容としては次の四点です。

 一つ目が法令に基づく、適切な団体運営及び事業運営を行う。二つ目が暴力行為の根絶に向けたコンプライアンス意識の徹底を図る。三つ目が公正かつ適切な会計処理を行う。四つ目が法令に基づく情報開示を適切に行うと共に、組織運営にかかわる情報を積極的に開示することにより組織運営の透明性の確保を図るということで、もうすでに皆様には役員会等でお知らせしてありますが、現在6名の方に就任していただいております。吉永先生は委員長として、あとは野球関係、ソフトボール関係、幼稚園の園長先生、そして銀行マン、そして最後は弁護士の先生にも就任していただいてこの委員会を活性化していきたいと考えております。最後にコンプライアンスにつきまして、それでは我がティーボール協会は今どういう状況にあるのかということで五点、要点を書きました。

 一つ目が本協会の設立の根拠法である特定非営利活動促進法、その他団体運営に関連する法令に基づいて現在適切な事業運営を行っております。さらにスポーツ基本法の精神及び本協会の理念の一つである子どもたちの健全育成に貢献する事業運営に力を注いでおりますが、今度はさらに次世代を担う青少年の体力向上、人格形成に貢献する事業を展開していきたいと考えております。二つ目が適切な団体事業運営を確保するための役員体制。これについては現在、役員、評議員の数が200人を超えて幅広い人材に就任していただいております。ただし女性に関しては、女性の理事、評議員の確保はまだまだこれから考えなくてはいけない、確保していかなくてはいけないということもありますので、さらに一層の体制の整備、充実を図っていきたいと考えております。三つ目がコンプライアンス遵守研修の開催です。これについてはすでに組織は出来上がってはおりますが、コロナ禍で、思うような活動ができていないのが現状です。これからコロナが沈静化してくればこういった研修を徹底してやっていきたい、さらに来年、ティーボールセミナーが対面で行われれば、セミナーや公認指導者の認定講習会といったところもカリキュラムに組み入れて研修を実施していきたいと考えております。そして四つ目ですが、これは財務、経理の処理についてであります。これは現在有賀公認会計事務所と契約しているわけでありますが、今、緊密に連絡を取り合いながら会計原則を順守し、適切な会計処理を行っている状況であります。最後に、組織運営に関わる情報の開示、これも先ほどのホームページの充実というところで申し上げましたが、やはりさらにこのホームページを活用しながら、協会への理解を深めるために活動している内容を十分に知っていただくように努力していきたいと考えております。そういったことで協会運営、事務局運営というものは対面による会議のメリット、そしてオンライン会議のメリットを取り入れながら運営しているところでありますので、どうぞ協会の今の実情を理解していただきながらご協力をお願いしたいと考えております。ちょうど時間が参りましたので、ここで私の報告として終わらせていただきます。どうもご清聴ありがとうございました。


■理事長講演 吉村 正氏 

(早稲田大学名誉教授・煙台大学客員教授) 

「これでいいのか五輪の野球・ソフトボール。 
だから幼児・小学1・2年生への普及、更に世界に向けて」

(一之瀬氏) 

 頼住事務局長、ありがとうございました。続きまして、理事長講演に移ります。「これでいいのか五輪の野球・ソフトボール。だから幼児・小学1・2年生への普及、更に世界に向けて」と題して、日本ティーボール協会理事長吉村正がご講演いたします。吉村理事長、よろしくお願いいたします。 

(吉村

 一之瀬先生、ご紹介ありがとうございました。改めまして皆さん、こんにちは。今日はようこそ。皆さんの顔見ながら、30分近く話したいのですが、実は今日は25分間の原稿を用意してきました。それをゆっくりと皆さんと一緒に読むという講演にさせていただければと思っております。それでは始めます。 

 2021年東京オリンピックが終了致しました。多くの印象深い思い出を沢山いただきました。今日は、日本ティーボールセミナーでの発表です。ソフトボールと野球を少しばかり思い出してみましょう。 

【ソフトボールと野球は金メダル獲得おめでとうございます】 

 ソフトボールは金メダルを獲得しました。対アメリカ決勝戦で2対0、上野389球。13年越しの金メダルでした。6回に先頭打者に出塁を許すと後藤が完璧な救援を行いました。今のチームは、若い力が伸びています。そして、最終回は再びベテラン上野がリエントリーで再登板。そして胴上げ投手となりました。おめでとうございます。これらは、記憶に新しいところです。

 サムライジャパンの野球も金メダル獲得でした。初戦の優勝候補 ドミニカ戦が、とても印象に残っています。9回裏、1対3で敗戦が濃い状態から、甲斐のスクイズで同点、坂本のセンターオーバーのサヨナラヒットで勝利しました。これで侍ジャパンは勢いに乗り、2回戦以降も順当に勝ち続けました。山本投手、村上のホームラン、思いだすだけで嬉しくなります。稲葉ジャパンありがとうございました。

 ソフトボールと野球の金メダル獲得、改めましておめでとうございます。選ばれた選手たちは日の丸を背負って、本当に良く頑張りました。コロナ禍のうっとうしい時期に明るいニュースをありがとうございました。 

 しかし、この二つの競技、2024年の次回のパリ大会では、再び実施種目から外れます。野球とソフトボールをこよなく愛する者にとっては非常に悲しいことです。2028年のロスアンゼルス五輪では、野球とソフトボールの発祥地ですから、この二競技の復活が期待されますが、まだまだ不透明といっていいでしょう。 

【出場選手の選び方、あれで良いのか?】 

 さて、この東京オリンピックの野球とソフトボール競技でも、出場選手の選び方、試合形式のあり方について「あれっ、あれで良いの?」って疑問に思われた方がおられるのではないでしょうか? 

 それは次のような疑問から来ています。野球に関していえば、アメリカを初め、世界で最高峰のメジャーリーグの選手が、各国から出場していません。例えば、アメリカ代表の選手は、日本のプロ野球で活躍している選手やメジャーリーグの下部組織である3Aや2Aの選手で編成されています。これは日本でいうと2軍です。これは非常に気になります。 

 NHKの元メジャーリーガーの野球解説者の一人は、「次回、この野球がオリンピックに戻ったら、日本はアマチュアの選手でオールスターを組みチーム編成をしたらどうですか」と発言していました。私と似たような考えをお持ちなのではないでしょうか。 

 一方、ソフトボールもまた、アメリカは最強チームを送って来てないように思われます。 日本の社会人リーグでプレーしている投手。それがアメリカのエースとして出場しています。それと同じように13年前のエースも二人選ばれています。アメリカは毎年多くの大学で素晴らしい投手が出現し、活躍していますが・・・。その選手たちはなぜ日本に来なかったのでしょうか? 

【試合形式はあれで良いのか?ソフトボール!】 

 もう一つ、これは以前「理事長からのメッセージ」でも書いたのですが、ソフトボールの試合形式に問題があります。先ず1次リーグですが、これは、日本でいうリーグ戦、6チーム総当たりです。そこでの1、2位のチームが次に優勝決定戦を行う。これも悪くはないですが・・・。 

 オリンピックの大会前に決めた事なのでしょう。2次リーグ(決勝大会)というのでしょうか。本来、2次リーグで1位と2位のチームがもう一試合行う場合、2位のチームが1位に勝った時は、2チームとも5勝1敗となります。この場合、もう一試合(王座決定戦) を行うべきです。それでないと、不公平になります。 

 この度の東京オリンピックではソフトボール競技では、ここに問題がありました。即ち、1次リーグではアメリカが5連勝。日本が4勝1敗。そして次の1,2位による決勝は、日本が2対0で勝利。ここで日本とアメリカはお互い5勝1敗。この時点で大会を終えるのであれば、日本もアメリカも同率優勝、お互いが金メダルです。 

 オリンピックのルール上、両チームに金メダルを出せないならば、日本がアメリカに勝利した時点で、同日なら1時間後に「王座決定戦・5回(イニング)」を行うべきです。通常、1日にダブルヘッダーを行う時は、第一試合目が7回、第二試合目は5回とします。野球の場合は1試合目が9回、2試合目が7回となります。これはアメリカでは日常的に行われている対戦方法です。なぜこれを採用しなかったのでしょうか? 疑問が残ります。 

 これを大会前に、きっちり決めておかないと、日本がアメリカに1対2で負けた7月26日の試合は、日本もアメリカも勝つ必要の無い、単なる「消化試合」となります。その試合、日本は次の試合のために上野投手を温存しました。オリンピックで「消化試合」が許されるのでしょうか。他の競技団体の役員がこれを観たら、何というでしょうか。このことを、我々野球・ソフトボール関係者は、真剣に考えなければなりません。また、反省しなくてはなりません。東京オリンピックの前にこの競技の試合形式を決めるために開催された会議の議事録を読んでみたいですね。誰がどのような発言をされて、誰がこのアイディアに賛成したのか? どのようにして、このような「大会形式」になったのか、知りたいです。 

 一方、野球に関しての「大会形式」は、全く問題がなかったように思われます。どの大会でも採用される「敗者復活制度」でした。 

 以上のように、オリンピックという世界最高峰の大会でも、この野球とソフトボールは、大きな課題を残しました。次回までに全世界の競技者並びに役員は言うまでもなく、世界の隅々の皆が納得するような、しっかりとした解決法を考えておかなければなりません。 

【オリンピック種目では、見た目では全て全力で体を動かしていること】 

 更にもう一つ、この野球・ソフトボールを五輪に戻すためには、大きな高いハードルが あります。それは、試合中、投手と捕手、打者以外の出場選手が、一見して全力で動いていない、活動していないと見えてしまう点です。例えば、「外野手はいつ動くの、回が終了した時に、ベンチと守備位置をゆっくりジョギングで往復しているだけではないか?」こう言った意見です。 

 私もソフトボールを最初にアトランタオリンピックに入れる前は、結構ロビー活動しました。そこで、アフリカ、欧州等の人たちに説明するのは大変でした。私が説明したのは「野球やソフトボールは心理学の側面のあるスポーツ」だということです。「体が動いていない時は、次の手、また更には次の次の手(戦法)を頭で考えている。正に、チェスでプレーする時のように・・・。だから試合後は心身ともに物凄く疲れるのです」、と。 

 オリンピック種目では、どの競技でも見た目は全て全力で体を動かしています。「スピードやパワー」を競い合っています。野球やソフトボールは、投手だけが全力でプレーしているように勘違いされがちなのです。これを、世界のアスリートやオリンピアン、それにそのOB達に納得させる説明が必要になるのです。この説明がとても難しいのです。

 そこで、野球・ソフトボールを「見た目で動き回っている状態をつくる」。これが必要となるのです。

【ティーボールが参考になります。そこで提案したいのが、「満塁・スリー・ツーからの野 球・ソフトボール」別名「一球野球・一球ソフトボール」です】 

 これを世界に広めるのです。勿論、これまでの野球・ソフトボールをそのまま五輪に残す。これをまずは第一に考えます。そして次、第2の「ベースボール型」球技、これを世に問うのです。この球技をオリンピックに導入するのです。 

 これが、我々早稲田大学ソフトボール部が提唱している「オリンピック・ベースボール」、「オリンピック・ソフトボール」。別名「一球野球(ベースボール)、一球ソフトボール」です。これは7回でも、9回でも、約1時間か1時間半で試合は終わります。常に選手は「動き回っている状態」で試合は進みます。 

 ちょうどこの発想は、15人制ラグビーが、動き回る7人制ラグビーとしてオリンピック種目に追加されたり、5人制バスケットボールが、世界で大変な人気がありながらその上で3×3バスケットボールが、更に以前は9人制であったバレーボールでは6人制が採用されたり、そして更に2対2のビーチバレーも、これらと同じです。この「動き回る球技」がオリンピックでは求められるのではないでしょうか。これを我々野球・ソフトボール関係者は知ることが大切です。出場選手が試合中は「動き回る」ことです。 

 くどいようですが、球技としてオリンピック種目に戻すならば、これが大切なのです。私は、これを強調します。 

 この「動き回る野球・ソフトボール」に関しては、私の一理事長からのメッセージーを ご覧になるか、このセミナー「実践報告3:一オリンピックに野球・ソフトに加えて「一 球野球・一球ソフト」を提案する」をぜひ視聴下さい。面白いですよ。 

【野球・ソフトボールを五輪にどうすれば戻るか】 

 それでは、最初のテーマに戻り、「野球・ソフトボール」を五輪にどうすれば戻せるか。 これは、世界に野球・ソフトボール協会を少なくとも、200カ国まで増やすことです。そして、それぞれの国が、強いチームを創り、国と国との対抗試合がほぼ互角で、どちらが勝つかどうか分からないほどのチームにすることです。どちらが勝つか分からない国別対抗でないと面白くありません。現在の野球やソフトボールでは、試合をする前から、どこが優勝するかかなりの高い確率で分かります。これでは興ざめです。これを無くすためには、オリンピックで世界の国々の人が楽しめるようなルールの改正を常に行い続けること です。 

 さて、そこで、地球上に、野球とソフトボールを普及させるには、これはもう「日本式ティーボール」を全世界に普及する事しかないでしょう! 

 アメリカのティーボールはダメです。それは、ボールが硬式野球のボールに近く、硬い。 野球少年しかプレーできません。バットも金属製、ヘルメットも着用の義務、アメリカのリトルリーグ選手の年齢の下の子ども達には、これで良いのでしょうが、それでは世界には通用しません。柔らかいボールでキャッチボール出来るようにする。これであれば、高価なグラブは入りません。金属製のバットも必要ありません。日本式のバットか素材が竹か木のバットがあれば良いのです。棒切れなら、どこにでもあります。棒切れで石ころを打つ、これが野球やソフトボールの原点の一つではないでしょうか。 

 我々は、日本式ティーボールを中国や韓国といった野球の文化が定着していなかった国に爆発的に普及させた実績があります。はっきり言って、野球とソフトボールの国際ルールは難しすぎます。ルールは簡単にしなくてはなりません。また、使用する用具も比較的手に入りやすい安価な物でなければなりません。現在の用具は高価すぎるのです。これで世界の国々に、広げるのは無理です。 

 なぜ、日本式ティーボールが、日本や韓国、台湾で小学校体育の種目に導入されたのでしょうか。それは、安全で、男女関係なく皆が、楽しく、打つ、投げる、捕る、走ることが出来る球技、そして用具も高価でないと認定されたからです。中国でも、同様です。 

 また一方で、私が知り得る限りでは、青年海外協力隊の野球・ソフトボール隊員にもそのことが正しく理解され、野球やソフトボールの不毛の国で、これらの球技の普及の為に、日本式ティーボールを参考にされていると聞いています。我々が「バッティングティーの一つに道路コーンを上手に使いましょう」というキャンペーンを張ったのも、世界で野球とソフトボールをプレーしてもらいたいからです。道路コーンは世界に何千万本、何億本とあると推測できます。道路コーンの上にボールを置いたら、人類の多くの人は、それを棒か竹で杖か何かで打ちたいと思うでしょう。この人間の本能を引き出したいのです。これが野球やソフトボールの普及に繋がると信じています。 

「ベースボール5」はベースボール型球技」の範疇に入るのか?】 

 さて、今、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が、「ベースボール5」という「ハンドベースボール」を「ベースボール型球技五輪復活」に向けて導入しようとしています。今回のセネガル・ダカールで開催予定のユース五輪で採用されるようです。日本でも全日本野球協会と日本ソフトボール協会とがその普及に力を入れているみたいです。本当にそれで大丈夫でしょうか・・・? 

 私のように、70年以上ソフトボールと野球にどっぷり浸かってきた者にとっては、大変心配しています。 

 それは「野球とソフトボールの最大の楽しみ」は、先から述べているように「ボールを バットで打つこと」だと思っているからです。球技として世界中に普及しているものは、 用具(バット・スティック・クラブ等)を用具(ボール・シャトルコック等)で打つゲームです。世界では、野球・ソフトボール・クリケット・ラウンダース・ゴルフ・ホッケー・ 陸上ホッケー・ポロ・卓球・バドミントン・テニス等が爆発的に広がっています。手で打って試合になるのは、バレーボール以外、何があるでしょうか。 

 因みに、私は、キックベースボールを、野球の範疇に入れるのは反対です。あれはサッカーのテリトリーに入るものと考えています。足でボールを蹴るのですから野球ではないでしょう。同様に、ベースボール5という「ハンドベースボール」は、バレーボールの範疇に入るものではないでしょうか。WBSC が好んで普及を試みるのは少し異様な思いで見ています。アメリカや日本で野球やソフトボールを真剣に研究したり、プレーした人間にとっては違和感があります。どの国の人の発想・立案なのでしょうか? この球技が本当に世界に普及するとはどうしても考えられません。この球技の普及を試みるとするならば、それは、野球・ソフトボール協会や連盟がするべきことではないでしょう。他の団体・連盟がなされることではないでしょうか。皆さんは、どの様に思われますか。 

 これに関することも、今日の実践報告3:ーオリンピックに野球・ソフトに加えて「一球野球・一球ソフト』を提案する」で発表する学生に少し触れてもらいます。 

【「用具と用具で打つ楽しみ」を世界中に知ってもらうこと】 

 世界に野球・ソフトボールを普及させるためには、日本式ティーボールを参考にして「用具を用具で打つ楽しみ」を世界中に知ってもらうことです。2022年の年頭に当たり、私は、これも強調します。 

 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の方々並びにそれ以外の団体の野球・ソフトボール協会や連盟の皆さんは、どの様にお考えになりますか・・・。ご意見を伺いたいですね。ぜひ議論しましょう。最後に繰り返しになりますが、この発表で強調したことが2点あります。それをもう一度申し上げます。 

 1点目は、野球・ソフトボールをオリンピックの正式種目としてIOC等に認めてもらおうとするならば、ティーボールが参考となる「満塁からの動き回っている野球・ソフトボー ル=一球野球・一球ソフトボール」、これらの導入を真剣に考えてはいかがでしょうか、ということ。 

 2点目は、「野球・ソフトボールの最大の楽しみの一つは『バットでボールを打つ』= 『用具を用具で打つ」こと」。これが野球・ソフトボールの大きな楽しみの一つです。手でボールを打つ「ハンドベースボール」というのは、野球・ソフトボールの本質から乖離してます。つまり、「逸脱していますよ」ということです。 

 この二つです。 

 いずれにせよ、日本ティーボール協会は、今年も「幼児・小学1・2年生へ普及活動」 に全力投球しましょう。この年齢の幼児と児童に野球とソフトボールの持つ醍醐味「投げる・打つ・捕る・走る」楽しさをきちんと教えます。この活動を皆さんとコツコツやって行けば、野球とソフトボールの底辺は、間違いなく広がります。世界の国々で野球やソフトボールを始めるきっかけを作ることになります。世界野球ソフトボール連盟への加盟国も増えるでしょう。オリンピック種目に戻る確率も高まります。将来が楽しくなるのです。 

 さあ! 皆さん!今年もこのコロナに負けず、今まで通り一緒にティーボールの普及活動をやりましょう。 

 本年もどうぞ宜しくお願い致します。 

(一之瀬氏) 

 吉村理事長、ありがとうございました。